訪日客は増加もインバウンドに迫るリスク?


政府観光局の調べによると、2019年7月の訪日外国人客数(推計値)は前年同月比5.6%増の299万人と、2019年4月(293万人)を上回り、単月としては過去最高を記録しました。

内訳(図1)で見ると、中国からの訪日客数が初めて単月で100万人を越え最大となりました。一方で中国に次いで訪日客の多い韓国は前年同月比7.6%減の56万人となりました。韓国からの訪日客の減少は、同国での渡航先の多様化や経済の低迷に加え、日韓関係の悪化で訪日旅行を控える動きがあることが影響したと考えられます。


韓国人訪日客の減少はインバウンド関連業種にとってはリスク要因ですが、その影響はあまり大きくないかもしれません。図2は訪日客の国籍・地域別訪日1回あたりの消費単価、すなわち1人の訪日客が滞在中に国内でどれだけ消費したかを表しています。韓国人訪日客の1回当たりの消費額は2018年実績で7万円弱と、1回で20万円近く消費している中国人訪日客に比べると小規模に留まります。中国人訪日客の増加が韓国人訪日客の減少を相殺してくれることも期待できるかもしれません。


■韓国人訪日客の減少以上のリスク要因?

ただし、中国人訪日客がこのまま堅調に増加するかどうか、引き続き旺盛な消費を続けるかには疑問が残ります。米国が制裁関税第4弾を発表した8月上旬以降、中国人民元は元安傾向が続いています。安全資産としての円の買い需要ともあいまって、人民元対円相場は1元=15円を下回る円高・人民元安となっています(図3、8月28日現在)。これは人民元がピークをつけた2015年の水準を25%以上下回る水準です。


人民元安が進めば、同じだけの人民元を日本円に替えたときの金額は当然少なくなります。旅行客が日本国内で使う金額も少なくなると考えられますし、旅行を手控える人も出てくるかもしれません。

米中貿易摩擦は激化・長期化の様相を呈してきており、人民元安は今後も進行していく可能性もあります。世界的な通商問題が日本のインバウンド関連企業の業績にも影響を与える可能性が出てきました。


(eワラント証券 投資情報室次長 多田 幸大)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。