2019年下半期に要注目の経済指標3選


米国株式市場ではNYダウ平均株価が史上最高値を更新するなど強さを堅持する一方で、世界的な景気減速を懸念する声が高まってきています。景気拡大局面が史上最も長く続いている状況ではありますが、近い将来に大きく相場環境が変わることも想定しておいたほうがよいかもしれません。景気動向を正しく把握しておくためにも、情報の重要性はより一層高まるかもしれません。

とはいえ、多くの情報を入手が可能になった昨今では、投資に関する情報もあふれており、必要のない情報はノイズとして排除していくことも大切でしょう。本稿では長期的な株式投資の判断をするにあたって、筆者が特に重視している3つの指標をご紹介します(データは2019年7月18日時点のものです)。

(1)米国の失業率
一般に、景気拡大期には雇用環境が改善し、失業率は低下します。反対に景気低迷期は雇用環境が悪化し、失業率は上昇します。図1は米国の失業率、失業率の5カ月の移動平均、NYダウ平均株価の月次データです。

長期的な視点で見た場合、米国の株式相場は米国の失業率と反対に動く傾向があり、失業率が低下傾向にあるとき株価は上昇傾向にあり、失業率の低下傾向が止まり、失業率の移動平均が横ばいから上昇傾向になると株価は下落していたことが分かります。


7月5日に発表された6月の失業率は3.7%と5月(3.6%)から僅かながら悪化しました。依然として完全雇用に近い状態ではありますが、もし7月以降も失業率の上昇傾向が続くようであれば、株価にとっては黄色信号となるかもしれません。

(2)米国債のイールドスプレッド
長期国債の利回り(イールド)と短期国債の利回りを比べた場合、一般に長期国債の利回りの方が短期国債の利回りよりも高くなりますが、利回りが逆転することがあります。これを「逆イールド」と呼びます。

図2は中心物である「10年債利回りと2年債利回りの差」とNYダウ平均株価の関係を見たものです。「10年-2年スプレッド」が赤くなっている部分が「逆イールド」発生の時期です。株価との関係で言えば、過去2回「逆イールド」が発生した数カ月後に株価が大幅に下落していたことがあり、「逆イールド」は大きなショックの凶兆とも見られています。


現在はというと、10年債利回りと2年債利回りの差が縮小傾向(フラット化)にはあるものの、まだ逆転現象は発生していません。株式投資をする上では買い安心材料と言えるかもしれません。

(3)日米欧の中央銀行の保有資産
2008年の金融危機以来、日米欧の中央銀行の資産買い入れを中心とする量的緩和を実施しました。日米欧の中央銀行の資産合計額と日経平均株価の関係を見たのが図3と図4です。

債券需要の増加は金利の低下をもたらしますので、相対的に株式の需要が高まります。量的緩和の結果として、株式市場は大きく上昇したと言えるでしょう。



6月以降の米国株式市場上昇の要因として、パウエルFRB議長やドラギECB総裁のハト派的な発言、ハト派と目されるラガルド氏が次期ECB総裁に決まったことなどの影響が大きいと考えられます。欧米中銀のハト派姿勢への転換を受けて、株式市場は資産買い入れの再開を織り込み始めているのかもしれません。日米欧の中央銀行の資産額が増え続けるのであれば株式は「買い」、減少していくのであれば株式は「売り」と考えられます。

(eワラント証券 投資情報室次長 多田 幸大)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。