鳥取県八頭町の自動運転バス実証実験



2019年3月、鳥取県八頭町の自動運転バス実証実験に参加してきました。なぜ鳥取県なのか、なぜ八頭町なのか。それはこの動画を見れば良く分かります。高齢過疎地だからこその自動運転バスです。(https://www.youtube.com/watch?v=jbSFLIvQ3hE

日本全国で問題になっているドライバー不足、そしてそれが引き起こすバスの廃線、移動ができなくなる不自由。この問題を真摯に解決しようとしているのが良く分かりました。自動運転がドライバーの職を奪うどころか、すでにドライバーがいない場合の解決策なんですね。

そしてバスがただ単に自動で走るだけでは実用化にはほど遠く、本来であればドライバーが配慮してくれていた車内の安全をドライバーがいなくてもAIや遠隔監視で維持するシステムが必要とのことでした。このイベントに参加するまで知らなかったのですが、バスの運転手さんは乗客が不安定な体勢のときにアクセルを踏んで転倒しないよう気を配り、乗客すべてが座ったり体勢が整ってからバスを発進しているみたいですね。この実証実験では自動運転でドライバーがいなくてもAIが乗客の体勢を常に検知しており、しっかりと乗客が安定してから発進したり注意を促すといったことを体験することができました。

こうやって実用化されたときのユースケースをしっかりと熟考し、課題解決をする。まさにUXデザインです。まだ存在しない世界でも感性を使い、想定の中で現地現物で課題を発想をする。素晴らしい取り組みだと思います。また実際にバス事業者が自動運転バスを実業務の中で使いこなせるよう、開発者はバス事業者の業務を勉強したそうです。単に知るというレベルではなく、運行管理者試験という国家資格までとって熟知にいたっているとのことです。ダヴィンチが馬の彫刻を作る際に馬を解剖し筋肉の構造を知ろうとした話を思い出しました。こういった情熱が最終的なアウトプット、UXを生み出しているのだと思います。素晴らしい実証実験であり、素晴らしい体験ができました。

(Betonacox Design)