ニューヨーク連銀が公表している米国の家計債務について最新の情報が2月12日に公表されました。2018年第4四半期の米国の家計における負債残高は13.54兆米ドルとなり、データを取得できる2003年以降で過去最大を8四半期連続で更新しました。内訳を見るとクレジットカード(0.87兆ドル)、自動車ローン(1.27兆ドル)、学生ローン(1.46兆ドル)が2003年以降で最大となりました(図1)。
内訳のうち最も残高が大きなものはモーゲージ・ローン、いわゆる不動産関連のローンです。不動産関連のローンと聞いて「2007年から2008年のサブプライムローン問題を思い出すなぁ」という方も多いのではないでしょうか。2008年のリーマンショックにつながるサブプライムローン問題は、当時、不動産価格の上昇を前提として積みあがったローンが不動産市況の悪化で焦げ付いたものです。ローンを返済できなくなった人の不動産は差し押さえられ、差し押えられた不動産が売りに出されてさらに不動産市況が悪化するというものでした。2008年第3四半期にモーゲージ・ローンは9.29兆米ドルを記録しています。
2018年第4四半期のモーゲージ・ローンの残高は9.12兆ドルとなっており、2018年第3四半期の9.14兆ドルからわずかに減少しましたが、不動産市況が悪化に転じたことを暗示しているのか今後の動向に注目です。
ローンの返済の不履行の前にはローン返済の延滞があるだろう、ということでローン延滞状況について見たのが図2です。直近数年において債務不履行の割合はあまり変化がありませんが、120日以上の延滞は減少傾向が続いているようです。延滞という点ではまだ問題があるようには見えません。
サブプライムローン問題においては、差し押えられた不動産の換金売りが市況を悪化させたと思われますので、差し押え件数も見てみることします(図3)。件数は低い水準にとどまっておりまだ問題はなさそうですが、前年同期比はプラスに転じるかもしれない、という状況にあります。傾向を見ると今後差し押さえ件数は増えていくものと思われます。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
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