デザインの話題:伊能忠敬のアートディレクション



江戸時代に精密な日本地図を作り上げた伊能忠敬。平均寿命が40代のころに49歳で隠居し55歳で測量を始めます。全ての測量をし終えたときには歯が一本しかなかったのは有名な逸話です。その日本地図、あまりにも精密であったため国防上、国外への持ち出しは禁止されるほどでした。さらに注目すべきはその地図は技術的に優れていただけでなくデザイン的にも非常に美しく優れていたのです。

伊能忠敬の地図を製作するチームには浮世絵師がおり、地図にはその土地の地形が美しく描かれているのです。当時、測定された正確な地図に絵が描かれることはなく、非常に新しい試みだったようです。忠敬の内縁の妻が浮世絵を描いていたことも影響したのかもしれません。

現代でも最先端の技術を使った製品には最先端のデザインを求めるものです。江戸時代、シーボルが盗み出し海外でも賞賛された最先端の地図は日本の浮世絵という美しいデザインで色付けされており、現代の我々が見習わなければならない高度なアートディレクションであったと言えるでしょう。

(Betonacox Design)