バスの未来:前橋市の自動運転バスが地味に凄い!



先月に寄稿させていただいた「100年に一度の大変革:バスの未来」ではバスの自動化、無人化の有効性と実現性について言及しました。それに続いて今回は前橋市と群馬大学、日本中央バスが実施している自動運転バス実証実験についてお話しします。12月に試乗してきました。

この自動運転バスは上毛電鉄中央前橋駅とJR 前橋駅を結ぶシャトル運行をしています。この経路のバスは従来から存在しているので、地元の方は自動運転とは知らずに乗車することもありました。運賃も従来の手動運転時と同じ金額を支払います。実はこれが意外と凄いことで、よくある自動運転の実証実験はイベント的に実施するものばかりで、この前橋のように社会に完全に実装されたものは全国初の取り組みとなります。

さて、この自動運転バスは車両の性能に関して格別に他の実証実験のバスより優れているようにはみえませんでした。では、なぜ社会実装がうまく進んでいるのか、その一つに経路選定の妙があります。自動運転の大きな課題の一つに路上駐車の対応があります。なぜなら路上駐車を避けようとすると後続車や前方車、対向車との関係が複雑になり非常に危険が伴いますし、状況によっては交通違反を侵してしまうからです。しかし、この実証実験の経路はシャトルバスで始点と終点以外にバス停はなく、常に追い越し車線を走行していました。ですので路上駐車を避けるというケースが存在しませんでした。

そして性能以外に優れていた点がバスの内装デザインです。自動運転をするには通常のバスに多くの機材を追加しなければなりません。この自動運転バスはそれらを頭上や目立たない場所に配置をすることで、一見は普通のバスのままとなっていました。見た目という面でも社会に完全に実装されていたのです。

この前橋の実証実験は2019年3月31日まで実施していますので、是非バスの未来を体感してみてください。ただし、SFの世界を想像しているとガッカリするでしょう。でも、そのガッカリは未来がすぐそこにあることを意味することでもあり、本当に素晴らしいことなのです。

自動運転バスは毎日運行しているわけではありません。事前に前橋市や群馬大学のWEBからご確認ください。

(Betonacox Design)