自動運転車は開発競争からサービス競争へシフトチェンジ


自動運転車に関しては、交通事故低減や関連する新たな産業の創出、東京オリンピックをきっかけにパッケージ化した交通マネジメントインフラの輸出が国の目標として挙げられています。日本の一般家庭に普及するまでにはまだ時間はかかる見込みですが、公道を使った実証実験が本格的に始まり、2019年はいっそう開発・導入競争に拍車がかかる可能性があります。

自動運転技術の実用化においては、さまざまな分野の技術を応用することができるため、完成車メーカーだけでなく、幅広い産業での需要拡大を期待することができます。これまでも半導体開発企業や人工知能のソフトウェア開発企業など技術を持つ企業を中心に、世界規模で合従連衡の動きが見られました。

米国勢はさらに一歩先を進んでいます。米カリフォルニア州では公道での実証実験が多く実施されていますが、最も多くの実績があるのはアルファベット(グーグル)傘下のウェイモです。2018年12月にアリゾナ州で無人の自動運転車による有料配車サービスを開始しています。2019年にはカリフォルニア州にも拡大する予定です。

ウェイモに続いて実証実験で実績があるのは意外にもGMです。GMといえば従来型の完成車メーカーのイメージがありますが、自動運転分野でもリードしています。子会社のGMクルーズにはホンダも出資しており、2019年に自動運転タクシー事業を始める計画です。このように米国企業は自動運転車を作るだけではなく、自動運転車を使って何をするかまで考えており、官民ともに世界をリードしています。

自動運転システムで米国勢に対抗する動きとしては自動運転のプラットフォームを開発する名古屋大発のベンチャー企業、ティアフォーが設立した自動運転OSの業界標準を目指す国際業界団体「The Autoware Foundation」でしょう。参加企業にはソフトバンクグループ傘下の半導体大手アーム(英)、ファーウェイ(中)、インテル傘下のインテルラボ、LG電子(韓)、トヨタ自動車傘下のトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(日)、ベロダイン・ライダー(米)などがおり、ウェイモに対抗する一大勢力となるか注目です。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。