利上げペースの鈍化は株価の天井圏のシグナルか?


米連邦準備理事会(FRB)は今月19日に、連邦公開市場委員会(FOMC)において追加利上げを行い、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利誘導目標は0.25%となりました。FRBは2015年12月開催のFOMCにおいて利上げを行ってから継続的に利上げを行っており、現在は利上げ局面にあります。

そもそも利上げとは中央銀行が政策金利を上げることですが、利上げによって市中金利が上昇すると国は国債の借入金利、民間では企業の借入金利やローン金利に上昇圧力がかかるため、利上げは借り手の金利負担を上げることになり、景気を冷やすことになります。最近の株価の急落の影響なのか、来年想定される利上げの回数は3回から2回に減り、さらに2020年までには利上げを停止する可能性も出てきました。

図は米国の代表的な株価指数であるNYダウ平均とFF金利誘導目標の1998年からのチャートです。利上げは景気を減速させるものではありますが、株価の動きを見ると利上げ局面では株価が上がって、むしろ利下げ局面で株価が下がっていたように見えます。


FRBは、株価や経済指標など景気動向を見ながら政策金利を決めていると考えられるため、好景気のうちに利上げし、景気が悪化してきたら利上げを止めたり、利下げをして景気浮揚を図る、ということを実施してきたと考えられます。2000年と2008年の株価下落と政策金利の動向を踏まえると、来年以降の利上げペースが落ちて利上げが行われなくなると、長期的には株価の天井圏にあることのシグナルとして解釈できるかもしれません。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

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