米国債市場で逆イールド発生、今後の株価の行方は?


今般米国の5年債利回りが2年債利回りを下回る状況が発生し、株式市場がこれを嫌気して下落しています。なぜ国債の利回りが株式市場に影響を与えるのでしょうか?

まずは米国債のイールドカーブを見ていましょう。イールドカーブとは残存期間の異なる国債の利回り(=イールド)を線で結んだもので、図1ではイールドカーブの形状の変化を、直近、1ヵ月前、3ヵ月前、6ヵ月前の時点で並べて比較したものです。通常、イールドカーブは右肩上がりの形状をしています。国債は残存期間が長くなるほど利回りが高くなるのが一般的だからです。

イールドカーブの形状は経済動向に応じて変化します。一般的に景気拡大が期待される時期においては、長期金利(本稿では10年債の利回り)が短期金利(本稿では2年債の利回り)に比べて高くなり、イールドカーブの傾きが急となります(スティープ化)。逆に景気の先行きが怪しくなると長期金利が低下して利回り差が縮小し、イールドカーブの傾きは緩やかになります(フラット化)。また、ごく稀に短期金利が長期金利を上回り、右肩下がりのイールドカーブとなることもあります。これが「逆イールド」と呼ばれる現象です。


図1で米国のイールドカーブの形状を見ると、1ヶ月前と比べて残存2年から残存10年にかけて急低下しており、いわゆるフラット化が進んでいます。特に残存5年では残存2年を下回る状況にあり、残存5年では「逆イールド」が発生していることが分かります。

「逆イールド」発生と株価の関係を調べるため、まず図2では米国の国債利回りの推移を見ています。利回りの水準は趨勢的に低下傾向を示していますが、残存期間の短い国債の利回りが上昇して10年債利回りに追いついている時期がときどきあることが分かります。


図3は「5年債利回りと2年債利回りの差」とNYダウ平均株価、図4は「10年債利回りと2年債利回りの差」とNYダウ平均株価の関係を見たものです。図3中の「5年-2年スプレッド」、図4中の「10年-2年スプレッド」が赤くなっている部分が「逆イールド」発生の時期です。「5年-2年スプレッド」では今月「逆イールド」が発生しましたが、図4中の「10年-2年スプレッド」ではまだ発生していません。「10年-2年スプレッド」の「逆イールド」発生も時間の問題でしょう。

株価との関係で言えば、過去2回「逆イールド」が発生した数カ月後に株価が大幅に下落していたことが分かります。金融引き締めにより短期金利が上昇した一方で、景気の拡大期待に冷や水をかける金融引き締めは長期金利の低下をもたらし、「逆イールド」が発生したと考えられます。「逆イールド」は株式相場のピークを見るための先行指標として注目されており、最近の株価下落は将来の景気後退を織り込みにいった動きと考えられます。



FRBは12月も追加利上げを実施することが予想されていますが、5年債での「逆イールド」発生で今後の追加利上げは実施しにくくなったと考えられます。為替相場においても、米国の利上げが円安米ドル高をもたらしたとするならば、「逆イールド」発生でFRBが利上げを止めれば円高となることが考えられるので、日本株にとっても悪材料と言えるでしょう。保有している株式を売却して現金化する、あるいは株価の下落によって収益の獲得を期待できるプット型eワラントやマイナス3倍トラッカー型eワラントを定期的に購入し、株価の下落に備えるのも一案でしょう。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。