多くのクリエイターとUXデザインについてお話ししてきましたが、いまだに人によってUXの定義が大きく違います。彼らの話しを分析してみたところ、2つに大別できることが分かりました。そこで今回、名称をつけて解説してみようと思います。
UXaaS(UX as a Service)
サービスや機能といった「便益を享受」して無形の価値を感じることです。ハードメーカーが話題にするUXは主にこちらになります。
UXaaP(UX as a Product)
ハードやソフトといった「製品を操作」する際に無形の価値を感じることです。ソフトメーカーが話題にするUXは主にこちらになります。
例として配車サービスで分類してみます。
UXaaS
・自分の場所や行き先を伝えるといった面倒な会話なく、タクシーが目の前に来て乗れば着く。
UXaaP
・配車を依頼したタクシーの場所が画面に映し出され、不安やストレスのない待ち時間。
次にコーヒーメーカーで分類してみます。
UXaaS
・コーヒー豆が減ってくると自動で発注され、いつなんどきも豆が切れることがない。
UXaaP
・重厚で高級感ある操作トルクやデバイス触感で、本来の味以上の味を感じられる。
さて、気になるのは、なぜハードメーカーとソフトメーカーでそれぞれ主なUXが別れているのかです。それはソフトメーカーはサービス(無形物のビジネスモデル)について十分にノウハウがある一方で、最終プロダクト部分に課題意識を持っているからです。逆にハードメーカーはプロダクト(製品の作り込み)について十分にノウハウがある一方で、サービスでのビジネスモデル構築に課題意識を持っているからです。それぞれが各課題解決にUXを活用したいと考えているのです。
もっともメーカー種別など関係なく客観的にUXを捉えると、事業を成功させるにはUXaaSとUXaaPの両方が高いほうがよいと言えるでしょう。UXが大事と言いながら、どちらか片方のUXしか見ていないと、結局は良い体感を生み出せなくなります。しっかりと2つのUXがあることを理解し、実践することが重要です。
(Betonacox Design)