2018年第3四半期の米国家計債務は過去最高をさらに更新


ニューヨーク連銀が11月16日に公表した2018年第3四半期の米国の家計における負債残高は13.51兆米ドルとなり、データを取得できる2003年以降で過去最大を第2四半期に続いて更新しました。内訳を見ると自動車ローンが1.27兆米ドルと2003年以降で最大となりました(図1)。


2007年から2008年に表面化したサブプライム問題とその後の金融危機の要因の1つとされるモーゲージローンは、家計の負債残高の内訳として一番大きなものとなっています。2018年第2四半期のモーゲージローンの残高は9.14兆円と増加し、過去最大の2008年第3四半期の9.29兆米ドルに迫っています。

また、ローン債務の延滞状況(図2)についてはまだ水準としては高くありませんが、2018年第3四半期から上昇しているようです。2006年第2四半期からの上昇とその後のショックと同じ道をたどるのか注目です。


債務不履行に関連して、差押え件数と破産件数について見てみると(図3)、差押え件数は横ばい傾向にありますが、破産件数は2018年第3四半期は21万4540件と第2四半期の22万4900件よりも減少しました。こちらは上昇トレンドは発生しておらず、まだ危機と言える状況ではありませんが、こちらにも注意が必要でしょう。


米国では12月と来年以降の政策金利の利上げについて要人発言や様々な憶測があります。政策金利のさらなる利上げはローン金利の上昇につながり、家計の債務支払い負担を増加させるものになるので、個人消費を減退させ、ひいては景気後退入りを早める可能性があります。家計債務が過去最高という債務が膨らんだ状況において利上げは景気減速及び株安へのインパクトは小さくないものと思われます。米国株安に備えてダウ平均株価が下落すると反対に価格の上昇を期待できるダウ平均株価のプット型eワラントを購入しておくなど、景気後退に備えて資産を防衛する手段をご検討されてはいかがでしょうか。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。