米国の中間選挙が終わり、再び日米欧の財政政策と金融政策に市場の注目が集まることになりそうです。金融政策については米国の中央銀行に当たる連邦準備制度(Fed)は政策金利の引き上げに加え、保有資産を縮小しつつあり、量的緩和政策からの脱却を進めています。
図1はFed、日銀、ECBの保有資産を円換算して時系列で比較したものです。2018年10月末時点でFedが約471兆円、日銀が約552兆円、ECBが約591兆円、合計約1,614兆円という規模です。なお、FedとECBの資産額は上下に振れていますが、これは日本円に換算して評価していることによる、為替レートの変動によるものです。昨年末から比較するとFedは30兆円減、日銀は33兆円増、ECBは16兆円減となっています。ECBの減少は円高が進んだ影響ですが、Fedは米ドルベースでも保有資産が縮小しています。
一般に中央銀行による資産買い入れ、いわゆる量的緩和政策は株式相場においては買いの材料と言えます。株価が歴史的な高水準にあるのは量的緩和政策のおかげといえるでしょう。日米欧の中央銀行の資産残高と日経平均株価の関係を見たのが図2です。まさに「緩和は買い」ということが分かるかと思います。
筆者の分析では、日米欧の中央銀行の資産合計額が小さいと日経平均株価の水準は低く、資産合計額が大きいと日経平均株価の水準が高くなるという関係性が見られます。と言うことは、量的緩和が終了し、資産額が増えなくなると株価の上値は重くなることが予想され、さらに資産額が減少に向かうと株価は下落していくことが予想されます。
円ベースで見た日米欧の中央銀行の資産合計は今年に入って横ばい傾向にあります。ECBは資産買い入れを年内に終了する方針を示しています。日米欧の中央銀行で唯一緩和継続スタンスを継続しているのは日銀です。Fedが保有資産を減らしている分を日銀が保有資産を増やして穴埋めしている状況が続きそうです。ECBは満期を迎える保有債券については再投資する公算が高く、その点では保有資産が大きく減ることはなさそうです。全体としては中央銀行の保有資産は横ばい傾向が続くことが想定され、今後の株価は上値が重くなる展開が続くかもしれません。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。