プット・コールレシオは日本株市場の底打ちを示唆?


9月14日の日経平均株価は上昇し、このところ数ヵ月の壁となっていた23,000円を突破しました。米中貿易摩擦、シリア情勢、トルコなどの新興国不安など相場には依然として不透明感が残るものの、ボックス相場に上放れの兆しが出ています。

その兆しとは相場の過熱感を客観的に見ることができるプット・コールレシオという指標です。プット・コールレシオとは、オプションやeワラント(カバードワラント)の取引で売る権利を意味するプットと買う権利を意味するコールの取引量を指標にしたものです。一般的に相場に弱気な投資家は相場下落時に価格が上昇するプットを、強気な投資家は相場上昇時に価格が上昇するコールを購入します。プット・コールレシオはプットの取引量をコールの取引量で割ったもので、プット・コールレシオが高い=プットを買う投資家が多い=弱気な投資家が多い、プット・コールレシオが低い=コールを買う投資家が多い=強気な投資家が多い、ということになります。

この図は日経平均株価とeワラント証券が日々公表しているプット・コールレシオです。


(最新データはhttps://www.ewarrant.co.jp/tools/put-call-ratio/)。図から分かるように、日経平均株価とプットコール・レシオは逆の動きをする傾向があります。つまり、プット・コールレシオがピークをつける、つまり相場に対して弱気の見方をする投資家が大勢となると、相場の底打ちのシグナルとなり、プット・コールレシオが極端に下がる、つまり相場に対して強気の見方をする投資家が大勢となると、相場の天井のシグナルとなるようです。

9月は米中貿易摩擦への懸念から、プット・コールレシオは上昇しました。相場の先行きについて弱気な見方をする投資家によってプット型eワラントの取引が活発に行われたためです。その後プット・コールレシオは9月6日にピークをつけて低下していますが、日経平均株価は上昇に転じており、相場の底打ちを示唆しているかもしれません。

プット・コールレシオは投資家の心理状態を把握できるという点で、過去の取引価格を観察するタイプのチャート分析よりダマシは少ないと思われますが、プット・コールレシオを用いた投資手法が成功するとは限りません。あくまで投資は自己責任でお願いします。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。