日米欧の中央銀行の資産状況(2018年5月末)


一般に中央銀行による資産買い入れ、いわゆる量的緩和政策は株式相場においては買いの材料と言えます。株価が歴史的な高水準にあるのは量的緩和政策のおかげといえるでしょう。その一方で米国の中央銀行に当たる連邦準備制度(Fed)は保有資産を縮小しつつあり、量的緩和政策からの脱却を徐々に進めています。

図1はFed、日銀、ECBの資産残高を円換算して比較したものです。2018年5月末時点でFedが約473兆円、日銀が約541兆円、ECBが約580兆円、合計約1,594兆円という規模です。なお、FedとECBの資産額は上下に振れていますが、これは日本円に換算して評価していることによる、為替レートの変動によるものです。昨年末から比較するとFedは28兆円減、日銀は22兆円増、ECBは26兆円減となっています。ECBの減少は円高が進んだ影響ですが、Fedは米ドルベースでも資産残高が縮小しています。


日米欧の中央銀行の資産残高と日経平均株価の関係を見たのが図2です。まさに「緩和は買い」ということが分かるかと思います。詳細は割愛しますが、筆者の分析では、資産合計額が小さいと日経平均株価の水準は低く、資産合計額が大きいと日経平均株価の水準が高くなるという関係性が見られます。と言うことは、量的緩和が終了し、資産額が増えなくなると株価の上値は重くなることが予想され、さらに資産額が減少に向かうと株価は下落していくことが予想されます。


ECBは年内に資産買い入れを減額する方針を示しています。日米欧の中央銀行で唯一緩和継続スタンスを継続しているのは日銀です。今年後半の日銀の金融政策決定会合や、自民党総裁選などは相場の節目となる重要なイベントになるかもしれません。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。