株式市場を業種、つまりセクター別で見てみると日経平均株価やTOPIXといった市場全体の指数と比べて大幅に上昇しているセクターがあったり、逆に大幅に下落しているセクターがあったりとセクターごとによって値動きが異なることが分かります。また、低迷していたセクターが翌月には上昇率の上位になったり、逆に上位にいたセクターが翌月には下位に落ちるといった具合に、相対的に株価が下がったセクターはいずれ反発し、値上がりしたセクターは下落するという経験則もあります。
図は東証33業種のセクター別指数の月次変動率について、2017年6月から2018年5月までの各月で相対的に強かったセクターは赤系、弱かったセクターは緑系の色で塗り分けたものです(2018年5月は9日までの変動率を使用)。例えば2018年5月は空運が相対的に強いセクターであり、水産・農林や鉱業は冴えないセクターとなっています。
この図を見ると相対的に強かったセクター・弱かったセクターは月ごとに入れ替わる傾向がありますが、相対的に強い状態又は弱い状態が数カ月も続くこともあります。このような状況となると、機関投資家が強いセクターに属する株式を売り、弱いセクターに属する株式を買うという投資行動をとるかもしれません。長期運用を行う機関投資家の運用においては、株式、債券、その他資産の資産配分や日本株のセクター配分などについて、予め決めておいた基本配分比率が相場変動によってズレることがあります。このズレた分を決められた基本配分比率に戻すために売買して調整するからです。
セクター間の強弱が入れ替わることを前提とする場合、出遅れているセクターには資金が向かうことが期待できるかもしれません。現状では電気・ガス、水産・農林、鉱業あたりになるでしょうか。一方で空運は弱含むかもしれません。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。