ビットコイン相場は株価の先行指標になるか?


株式市場をけん引してきた半導体関連株に影響を与えるのは半導体市況と考えられますが、半導体市況に影響を与えているのはビットコイン相場かもしれません。

高付加価値の半導体製品の利用用途の1つとしてビットコインのマイニング(採掘)が考えられます。マイニングをするには高速の計算処理が必要となりますが、高性能のコンピュータを大量に用意し、中国や北欧などの電力が安価な場所で大規模なマイニング事業が行われています。このマイニング用コンピュータに半導体製品が使われており、ビットコインの相場が上昇するほどマイニング参加者が増え、それによって高性能の半導体製品の需要がさらに高まるという循環になると考えられそうです。

米国の半導体関連株を対象としたフィラデルフィア半導体株指数(SOX)という株価指数があります。図はフィラデルフィア半導体株指数(SOX)とビットコイン(米ドル建て)の比較です。昨年10月末を100として指数化しています。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の動きと比較しにくくなるため、ビットコイン相場は右軸にしています。昨年末に投機マネーがビットコイン取引に流れ込み、10月末から見ても3倍近くまで上昇しましたが、今年に入ってからビットコイン価格は昨年末に比べると落ち着いた動きをしています。


値動きの振れ幅が大きく異なるので値動きが似ていると統計的に言い難い点はありますが、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)とビットコインの相場は概ね同じ方向に動いているようです。特に今年に入ってからはフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の先行指標になっているかのような動きをしているように見えます。株式市場に影響を与える半導体株の動きを考える上で、ビットコイン相場の動きはもしかすると参考になるかもしれません。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。