米国での自動車販売はメーカーにとっての苦境が続く?


1日に発表された2月の米国新車販売台数は季節調整済み年換算で1,708万台でした(図1)。前年同月比で2.1%の減少となりました。前年同月比での減少は4ヵ月連続です。昨年9月以降は持ち直しているように見えるのはメーカーの販売奨励金によるインセンティブ効果と思われます。


内訳を見てみると、乗用車の販売減少傾向が続いており、昨年11月以降と前年同月比で1割ほどの減少が続いています。トラックの販売は昨年8月に前年同月比でマイナスとなりましたが、昨年9月以降は前年同月比でプラスが続いています。

会社別に見ると、米国の大手3社、いわゆるビッグスリーのGM、フォード、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の不振が目立ちます。2月の前年同月比を見てみると、GM、フォード、FCAともにマイナスとなっています。トヨタとフォルクスワーゲンはプラス、日産とホンダはマイナスとなっています。テスラは販売台数でみればGMの2%にも満たないですが、前年同月比ではプラスとなっています。

長期的な視点で過去を振り返ると新車販売台数がピークアウトすると株価もピークアウトする傾向がありましたので、トラック販売の動向に注目です。しかし、販売台数が増えてもメーカーに販売奨励金の負担が増えるのは利益を圧迫する要因となりますし、トランプ政権による鉄鋼・アルミニウム輸入関税賦課も製造コストの上昇要因になりますから、自動車メーカーにとっては苦境が続くかもしれません。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

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