世界の再エネ発電コスト 〜 太陽光73%低下(2010年→17年)、陸上風力23%低下(2010年→17年)


国際再生可能エネルギー機関(IRENA: International Renewable Energy Agency)の1月13日の発表によると、2017年での平均的な再生可能エネルギー発電コストに関して、次のグラフの通り、化石燃料発電コスト(5〜17セント/kWh)の範囲内又はそれ以下のものまで出現しつつあるとの由。

2018.1.13 IRENA “Onshore Wind Power Now as Affordable as Any Other Source, Solar to Halve by 2020

① 世界平均の太陽光発電コストは、2009年末頃からモジュール価格が81%低下したこともあって、2010年から2017年までの間に73%低下し、 10 USDcents/kWh まで下がった。

② 世界平均の陸上風力発電コストは、2010年から2017年までの間に23%低下し、 6 USDcents/kWh まで下がったし、最低で 4 USDcents/kWh まで実証されている。

③ 陸上風力発電と太陽光発電では、2019年までに最低で 3 USDcents/kWh 以下にまで低下する見通し。2017年に運転を開始したバイオ発電と地熱発電は、世界平均で 7 USDcents/kWh だった。

④ アブダビ、チリ、ドバイ、メキシコ、ペルー、サウジアラビアにおける太陽光発電コストは最低を記録し、 3 USDcents/kWhを 下回った。

⑤ 2020年までに、現在商業化されている全ての再エネ発電コストは 3〜10 USDcents/kWh の範囲内となって、化石燃料発電と競合するか下回るようになる見通し。

《原文より抜粋》
The global weighted average levelised cost of electricity (LCOE) of utility-scale solar PV has fallen by 73% between 2010 and 2017 to USD 10 cents/kWh.

The average cost of electricity from onshore wind fell by 23% between 2010 and 2017. Projects are now routinely commissioned at USD 4 cents/kWh and the global weighted average is around USD 6 cents/kWh.

By 2019, the best onshore wind and solar PV projects will be delivering electricity for an equivalent of USD 3 cents/kWh, or less. New bioenergy and geothermal projects commissioned in 2017 had global weighted average costs of around USD 7 cents/kWh.

Record low prices for solar PV in Abu Dhabi, Chile, Dubai, Mexico, Peru and Saudi Arabia have made USD 3 cents kWh (and below) the new benchmark.

By 2020, project and auction data suggest that all currently commercialised renewable power generation technologies will be competing, and even undercutting, fossil fuels by generating in the range USD 3-10 cents/kWh range.

上記の根拠となったのは、“Renewable Power Generation Costs in 2017(KEY FINDINGS AND EXECUTIVE SUMMARY)” と題する報告書で、再エネ発電コストの世界的な低下傾向について詳述されている。その主なものは、次の Figure ES.1 〜 Figure ES.4 の通り。

2018.1.13 IRENA “Renewable Power Generation Costs in 2017(KEY FINDINGS AND EXECUTIVE SUMMARY)

2018.1.13 IRENA “Renewable Power Generation Costs in 2017(KEY FINDINGS AND EXECUTIVE SUMMARY)

2018.1.13 IRENA “Renewable Power Generation Costs in 2017(KEY FINDINGS AND EXECUTIVE SUMMARY)

2018.1.13 IRENA “Renewable Power Generation Costs in 2017(KEY FINDINGS AND EXECUTIVE SUMMARY)

日本では、再エネ電気の買取りに関しては、2012年7月に施行された再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)に基づき、次のような法定価格で買い取られることになっている。

このうち、2000kW以上の事業用太陽光発電については、今年度から入札制度が導入され、その第1回目の落札価格帯は17.2〜21.0円/kWhだった。

2017.9.28 経済産業省「調達価格等算定委員会」資料

各国それぞれ諸事情が違うので単純比較にはあまり意味はないが、世界から見ると、日本の太陽光は高止まっているという話。

日本の太陽光電気や風力電気を安くするには、
①法定価格を大幅に引き下げる措置を講ずるとともに、
②発電コストを大幅に低減させるための努力をする
ことが必要だ。

もっとも、これらはそう簡単にはいかない・・・。

(社会保障経済研究所 代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa