ガソリン高の背景に原油相場の上昇あり


ガソリンの価格が上昇傾向にあります。全国レギュラーガソリンの1リットル当たりの価格は1月15日時点で143.2円となり、2015年7月以来の高値です。ガソリン価格が高くなったのは原料の原油の価格が上昇していることが背景にあります。グラフは全国レギュラーガソリンの店頭現金価格とWTI原油先物価格の推移です。


ニュースなどで原油が高くなったと聞くことがあるかと思いますが、原油そのものの価格ではなく、原油を対象にした先物とよばれる取引の価格を指すことが一般的です。とくに米国のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)と呼ばれる先物価格が有名です。

原油高によって、ガソリン価格が上昇すると日常生活にガソリン車を利用する家庭にとっては痛手になりますし、燃油サーチャージが上昇すれば今年の夏休みの海外旅行にも行きにくくなるかもしれません。運送業者や石油火力発電のコスト上昇で配送費用や電気代の上昇にもつながるかもしれません。日本のようにエネルギーを輸入に頼っている国にとって原油高はあまり良いことでもなさそうです。

一方で原油の輸出国にとって見れば、原油高は恵みの雨と言えるでしょう。2016年前半の原油先物相場は30ドル台でしたから、そこから倍になっています。国の経済が原油輸出に依存している国として、サウジアラビア、ロシア、UAE、ナイジェリア、ベネズエラなどがあります。これらの国々は2016年の原油安の時期には歳入が減ることにより、国の借金の返済能力や景気減速が懸念されていました。

当時の原油安の理由として中国の景気減速や米国がシェールオイルと呼ばれる国産の原油の供給を本格化したことなどがあります。そこで中東の産油国を中心とするOPEC(石油輸出国機構)加盟国は協調して原油生産量を減らして価格を上昇させる方針を採り、それがようやく最近になって功を奏してきたと考えられます。

話を日本に戻すと、産油国の経済が良くなってきてもガソリン高は家計にとってよくないという方は、原油相場に連動する投資商品を買うことで原油高に備えることができます。原油ETF、原油CFD、原油eワラントや、原油関連株や産油国に投資する投資信託などで原油高による利益の獲得を狙います。これらの金融商品はガソリン高による出費増加を投資収益で相殺するという生活防衛の手段にもなりえますので、上手に活用したいところです。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。