反転した銅相場のヤマ場は共産党大会か?


今年5月に安値を付けた銅相場は反転、上昇傾向にあります。銅は発電、建築、通信、基盤など用途が多岐にわたることから、産業用金属(ベースメタル)と呼ばれています。中国は世界の銅需要の4割を占める銅の最大消費国ですので、銅相場の上昇は中国での建設、設備投資需要が回復していることを示唆しているのかもしれません。

図はロンドン金属取引所(LME)の銅の3ヵ月先物の推移(ドル/トン、日足)です。この銅の先物価格は今年5月に1トン当たり5,500ドルを割る局面もありましたが、直近では6,500ドルに達するまでに上昇しています。今年の2月から5月かけて下落トレンドにありましたが、5月に安値を付けてからは上昇に転じています。


中国では今年、5年に1度の共産党大会を控えています。堅調な銅相場から推察するに、中国では共産党大会のお膳立てをするために景気対策の公共投資を活発化させており、それが銅価格に表れていると考えることもできそうです。先日、中国の上場企業が定款を変更して共産党が経営に介入できるようにするという動きが報じられましたが、これも共産党大会に向けて安定した経済を目指すお膳立ての動きの1つかもしれません。

以上を前提に考えると、銅相場だけでなく堅調に推移している中国の株価指数も含めて、中国の共産党大会が1つのヤマ場になるかもしれません。共産党大会が終わっても公共投資は継続されるのか、それとも経済政策よりも政治的な引き締めや安全保障を重視する政策を優先していくのか、中国の動向が垣間見れそうな銅相場に注目でしょう。

なお、日本国内から銅相場への投資は限られていますが、eワラントには銅相場を対象とするプラス5倍トラッカーとマイナス3倍トラッカーという銘柄があり、個人でも銅相場に投資できます。共産党大会後も銅の需要増が続く又は供給減が発生すると見るならプラス5倍トラッカーを、共産党大会後の銅の需要減が発生する又は供給増が発生すると見るならマイナス3倍トラッカーを選択します。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。