日本株市場の売買シェアは海外投資家が7割程度であることから、海外投資家の動向が日本株市場を左右しているとも言えます。筆者の過去の分析では、月単位で見た場合、欧州投資家の売買動向と日本株市場全体の動向に関連性があることが分かりました。今年3月の日経平均株価は月間でマイナスとなりましたが、欧州投資家が売り越していたことが公開情報によって分かっています。4月と5月(25日までのデータ)は2ヵ月連続でプラスとなっていますが、4月の欧州投資家は6,848億円の買い越しとなっており、データはありませんが5月もおそらく買い越しとなっているものと思われます。
図は欧州投資家の日本株売買動向(左軸、億円)と日経平均株価の月間変化幅(右軸)を示したものです。欧州投資家の売買フローには大きく売り越した後は買う、大きく買い越した後は売るという傾向があり、さらに日経平均株価の変化と似通っていることが分かります。
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筆者の過去の分析では欧州投資家は平均的に2ヵ月強のサイクルで売買を行っている傾向がありますので、これを前提とすると、2017年5月は日本株相場が上昇していることから5月も4月に続いて買い越しとなっている可能性があります。ただし、6月については買い越し額が縮小するか、売り越しに転じる可能性があり、日本株相場は月間で下落するかもしれません。6月はECB、FRB、日本銀行の政策金利の発表に加え、英国での総選挙など大きなイベントを控えていることからリスク回避的な動きとなることが予想されます。
以上を前提とすると、今年もセルインメイの投資格言、“Sell in May and go away. Do not come back until Halloween.”(5月に売り払って市場から離れろ。そして10月末のハロウィンまで戻ってくるな)が有効となる可能性があるかもしれません。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。