在庫循環で見る米国の景気動向


3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)にて米連邦準備理事会(FRB)は政策金利を0.75%~1.00%に引き上げることを決定しました。FRBが米国の景気の先行きに強い自信を示した格好です。

景気のサイクル、つまり景気循環には長期から短期にわたるものまでいくつかの種類がありますが、その中で短期の景気循環として挙げられるものとして、企業の在庫に注目した在庫循環があります。景気が良いときはモノが売れるので企業が生産や出荷を増やしても在庫は積み上がることはありません。景気が後退してくると在庫が徐々に積み上がっていき、企業は生産や出荷を減らしていきます。景気が再び回復傾向になれば在庫が足りなくなってきて再び生産や出荷が伸びていくという循環です。

図は米国の在庫と出荷の関係を表したものです。この図では縦軸に在庫の前年同月比を、横軸に出荷の前年同月比を表示しています。図の上側は在庫の増加、下側は在庫の減少、右側は出荷の増加、左側は出荷の減少となり、斜めの線を引くことで景気拡大期、景気拡大期の終盤、景気後退期、景気停滞期、景気停滞期の終盤、景気回復期に分けることができます。

※画像をクリックして拡大

在庫循環図で見ると米国は2015年に景気停滞期にあり、2016年は前半は景気停滞期の終盤にありましたが、年の後半には景気回復期に入ったことが分かります。2017年は1月までのデータが図に反映されていますが、1月の時点では景気拡大期にあります。近く2月の速報値が発表される予定ですが、見るべきポイントは在庫が増えていないかという点になるでしょう。おそらく2月もまだ景気拡大期にあると考えられますが、もし大幅な在庫の増加が確認された場合は、在庫循環上の景気拡大期の終盤となり警戒が必要かもしれません。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。