再生可能エネルギー 〜 世界全体ではバイオマスと水力の割合が圧倒的シェア


先月28日のIEA(International Energy Agency;国際エネルギー機関)の発表では、世界全体の一次エネルギー供給と電力供給における再生可能エネルギーの位置付けについて掲載されている。

2014年の一次エネルギー供給における再エネ割合は13.8%で、その内訳はバイオマス10.1%、水力2.4%、その他1.3%となっている。即ち、2014年の一次エネルギー供給における再エネは、バイオマス73%、水力17%、その他9%で構成されている〔資料1〕。

再エネのうち風力や太陽光の割合はまだまだ小さいが、近年の伸びは著しい。1990年から2014年までの推移を見ると、一次エネルギー供給の伸びが1.9%であるのに対して、再エネの伸びは2.2%、その内訳では太陽光発電の伸びは46.2%、風力の伸びは24.3%と、突出している〔資料2〕。

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<資料1>
2016.7.28 IEA

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<資料2>
2016.7.28 IEA

2014年の電力供給における再エネ割合は22.3%で、その内訳は水力16.4%、バイオマス1.8%、その他4.2%となっている。即ち、2014年の電力供給における再エネは、水力74%、バイオマス8%、その他19%で構成されている〔資料3〕。

再エネのうち風力・太陽光の割合はそれほど大きくはないが、近年の伸びは著しい。1990年から2015年までのOECD諸国での推移を見ると、電力供給の伸びが1.4%であるのに対して、再エネ(水力を除く)の伸びは8.6%、その内訳では太陽光発電の伸びは44.1%、風力の伸びは22.1%と、やはり突出している〔資料4〕。

OECD諸国における1990年から2015年までの再エネ発電の推移を見ると、2000年頃を起点として欧州諸国の伸びが顕著になっている。その頃から再エネFIT(固定価格買取制度)がドイツなどで導入され始めたことが主因であろう〔資料5〕。

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<資料3>
2016.7.28 IEA

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<資料4>
2016.7.28 IEA

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<資料5>
2016.7.28 IEA

以上のことから、世界全体の再エネ事情を俯瞰すると、一次エネルギー供給ではバイオマスが圧倒的に多く、電力供給では水力が圧倒的に多いという話。

近年の伸びが著しい風力や太陽光が再エネの主役、ましてエネルギー全体の主役になるには、まだまだ相当の時間を要すると見込まれる。

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa