デザインの話題「自動車:外への情報表示」



先日、自動車ブランドのMINIが未来のコンセプトカーを描いたムービー「MEET THE MINI VISION NEXT 100」(https://youtu.be/N3XasCh2evc)を公開した。ムービーに出てくるコンセプトカーには斬新な丸型ディスプレイが搭載されており、そこで運転に関する情報を色や単純形状で簡易に表示している。そして情報が表示されるのは車の中だけではなく外へも情報が表示されている。ドライバが車に近づいていくとドアの外側やドアのすぐ下の地面などに挨拶の文字や図形が表示される。

こういった車が外に向けて情報を表示する未来のイメージは他の自動車メーカーからも出されている。Mercedes-Benzはコンセプトムービー「The F 015 Luxury in Motion Future City」(https://youtu.be/SlfpZmCCZ_U)の中でフロントグリルを左右に流れるように光らせて歩行者の横断を促している。一方、Nissanの「Nissan and the Future of Intelligent Driving」(https://youtu.be/aQIFihRV608)に出てくるコンセプトカーはダッシュボードの上に外に向けて見せるディスプレイが搭載されている。表示するデバイスはプロジェクタであったりLEDであったりと様々であるが、外への情報表示は自動車メーカーのトレンドになってきている。

この背景には自動車の自動化と知能化が関連している。自動運転になった場合、ドライバは車がどう動くのかが分からないと不安なため、車の少し未来の走行情報を表示することが望ましい。であれば、その情報を歩行者や対向車などの外に提示すれば、より危険を回避できる可能性が高まるのではないか、ということから外への情報表示が語られる。またIOT時代において車が様々なネットワークに繋がりドライバとコミュニケーションをとれるようになろうとしており、その場合なにも車の中だけの話しではなく、ドライバが外にいるときのコミュニケーションにも嬉しさがあり、やはりここでも外への情報表示が語られる。

この自動化と知能化は決して100年後の話しではなく、この先の数十年で飛躍するであろう今のトレンドの技術の話しである。コンセプトムービーで未来を見ることができるが、その未来の先には今を見ることができるのである。

(Betonacox Design)