2016/04/06

日本・アメリカ・ドイツの3ヶ国で再エネ導入状況を比較すると・・・

今月2日付け毎日新聞ネット記事によると、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を導入したことなどを背景に、太陽光による発電量が最近10年で23.3倍になったとのこと。

<記事要旨>
・太陽光は05年度123万メガワット時から14年度2869万メガワット時に増。固定価格買取制度が導入された12年度以降の増加分が8割。
・風力は225万メガワット時から505万メガワット時に、バイオマスは56万メガワット時から196万メガワット時への増。


(出所:2016.4.2 毎日新聞ネット記事

資源エネルギー庁の公表資料では、2012年7月に導入されたFITに基づく買取電力量と買取金額の推移が掲載されており、その概要は次の通り。これを見ても、上図の再エネ各種の傾向、即ち太陽光の伸びが突出していることを窺い知ることができる。



FIT対象となる再エネは、従来の大型水力は除かれている。このFIT対象となる再エネが全体の発電電力量に占める割合を、FIT導入の前後で比較すると、2011年度1.4%→2014年度3.2%に増加している。


(出所:2016.1.19 資源エネルギー庁資料

再エネへの期待感は大きいと思われる。だが、FITのような補助制度で支援したとしても、再エネ5種のうち、太陽光の伸びが突出しただけで、太陽光以外は大して伸びていない。

これは、補助制度の問題ではなく、日本における再エネの開発と導入には、発電コストの高さ、開発地点の制約、周辺環境との調和の難しさなど、相当の隘路(ボトルネック)があることによる。更に、太陽光については、今後とも買取価格の低下が見通されており、伸び率が鈍化することは確実。

別の寄稿などで書いたが、政府は2050年までに温室効果ガス排出量を現在より80%削減する国内目標を掲げている。これを達成しようとすれば、原子力発電の正常化だけでなく、再エネの飛躍的導入も必要となる。

しかし、それは無理筋。再エネの飛躍的導入は、蓄電システムが商用化され、一般に普及するまで待たなければならない。

因みに、アメリカの動向と、再エネ政策で日本が殆ど模倣しているドイツの動向の概略は、それぞれ次の図の通りで、

①アメリカ:再エネの伸びの大半は風力の著しい伸びによるもので、水力以外が水力を超え始めた。太陽光とバイオマスは微増傾向、地熱は横這い、水力は減少傾向、原子力は横這い。化石燃料部門では、石炭の減少と相俟って天然ガスが石炭を超え始めた。

②ドイツ:再エネの伸びは、近年では風力とバイオマス、ごく最近では太陽光の伸びが寄与。水力は横這い傾向。原子力は減少傾向、化石燃料はほぼ横這い傾向。


《アメリカ》


(出所)http://www.eia.gov/todayinenergy/detail.cfm?id=25392


(出所)http://www.eia.gov/electricity/monthly/update/archive/march2016/


(出所)http://www.eia.gov/electricity/monthly/update/archive/march2016/


《ドイツ》

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(出所)Energiedaten: Gesamtausgabe(Stand: Januar 2016)

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(出所)The German Energy Transition in International Perspective(2016.3)

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。
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