2016/03/08

デザインの話題「姫路城」


デザインはただ美しければよいわけではない。建築物であれば日当たりや風通しなど、電化製品であれば機能性や安全性などの要件を満たした上で、美しいデザインを生み出さなければならない。機能美と造形美の両立である。そのデザインの命題は実は遠い昔からなんら変わりがなく、それを古くから我々に示してくれているのが「姫路城」である。

姫路城は兵庫県姫路市に建っており、最初の築城は1346年と言われている。城には敵に攻め入られにくいよう複雑な経路を持たせたほうがよいが、その分、造形の要素が多く煩雑になってしまい美しいデザインに仕立てる難易度が高い。まさに機能美と造形美の両立が求められている。そして姫路城はその機能美と造形美を両立するため、それぞれ特徴的な手法を用いている。まず機能美の面では「螺旋式縄張り構造」である。敵からの防御線が三重の螺旋形となっており、かなり複雑で防御力の高い構造となっている。この螺旋式縄張りは姫路城と江戸城にしかないといわれている。

次に造形美の面では「連立式天守閣」である。5重6階の大天守と3つの小天守が渡櫓(わたりやぐら)でつながり、幾重にも重なる屋根、千鳥破風(はふ)や唐(から)破風が、白漆喰総塗籠造(しろしっくいそうぬりごめつくり)の外装と相まって、華やかな構成美をつくっている。この連立式天守閣の方式が螺旋式縄張り構造などで複雑となってしまう造形を全体としてシンプルに仕上げている。

世界文化遺産・国宝である姫路城はシラサギ城と呼ばれるように、その美しい白い造形美が注目されがちであるが、実際に入城するとその機能美の美しさを実感することができる。そして改めて機能美と造形美が両立されていることに感動するだろう。ぜひご来場いただきたい。

(Betonacox Design)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。
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