高成長が続くインドに勝機あり?


かつてBRICともてはやされた4カ国のうち、ブラジル、ロシア、中国は景気後退が懸念されています。唯一インドが高成長を維持し、この中では勝ち組といえるでしょう。図1はGDP成長率の前年同期比ですが、ブラジルは2014年4-6月期からマイナス成長に入り、ロシアも2015年1-3月期からマイナス成長に入っています。ブラジルではインフレーション(物価上昇)、景気後退、ジカ熱のトリプルパンチで8月5日に開幕するリオデジャネイロオリンピックを混乱なく実行できるのか?という心配までされる状況です。ロシアの経済は原油頼みであり、原油価格の暴落がロシアの景気に大きな影を落としています。中国は7%台後半の経済成長を維持していますが、中国が発表する経済指標をそのまま信じている人は多くはないでしょう。中国の実体経済は相当悪いと見られています。そんな中でインドは高い成長率を維持しています。インドは中国に次ぐ人口の多さから一大消費地として期待されるほか、民主主義国家ゆえに中国やロシアに比べて政治面でのリスクは低いと考えられ、外資系企業の進出がいっそう加速するものと思われます。インドのモディ政権も経済優先の政策を採っており、インドの高成長は世界経済の減速をもろともしない頼もしさがあります。



そんな高成長が続くインドの恩恵を受けたいならばインドの企業に中長期的なスタンスで直接投資するのも一手ですが、日本からの投資を考えた場合、インドの個別企業を調べて実際に投資するのは骨の折れる作業です。ちょっと見方を変えて、日本の企業でインドに進出している企業、もしくは進出が見込めそうな企業に投資するという手段もあります。具体的な銘柄例としては、インドの自動車生産や建築分野で塗料需要の拡大が続く関西ペイント(4613)、プラスチックボトル成形機メーカーの日精エー・エス・ビー機械(6284)、インドで四輪車の販売が伸びているスズキ(7269)、二輪車用クラッチの販売が伸びているエフ・シー・シー(7296)、インドで年間黒字化を達成したユニ・チャーム (8113)などです。図2はこの5銘柄に均等に投資していたらどうなっていたかを試算したチャートです。



年初から波乱の続く日本株市場ですが、相場が大きく下げたところは中長期に日本株に投資するチャンスという見方もできます。インドの経済成長の恩恵を受けると考えられる日本株はその候補として考えても良いかもしれません。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。