日本株と相性のよい資産とは?


今年の株式市場は大波乱の幕開けとなり、日経平均株価は1月12日の終値で年末比で1,800円を越す下落となりました。中国経済の減速、人民元安による円高、中東情勢の不安、原油安、米国の利上げなどが日本株下落の原因として挙げられていますが、このような状況においても下落どころか上昇傾向にある資産があります。金相場です。

一般的な投資ノウハウとして、株式と一緒に持つなら債券が良いとされています。株式が下落する局面においては債券、特に安全性が高いとされる国債が買われる傾向にあるため、株式だけに投資しているよりも良好な運用成果が期待できる、というのが理由です。とはいっても低金利のこのご時勢、債券で株式の下落を穴埋めするにはちょっと役不足な感じもしますし、個人で国債を買うのはちょっとハードルが高いかもしれません。そこで債券ではなく、金を一緒に持つ候補として考えてみます。図は日本株と金を半分ずつ、一緒に保有した場合のシミュレーションです。なお、シミュレーションにおいては毎月保有比率が50%になるように調整したものとし、取引に係る手数料は考慮していません。日本株の配当も再投資したものとしています。2016年1月は14日時点までのデータを用いています。





図から分かるように金と日本株を一緒に保有したポートフォリオはお互いの値動きを相殺して良好な結果となっています。ITバブルが崩壊し、世界的に株式が下落した2000年の日本株は25.0%の下落でしたが、金価格はプラスで推移したのでポートフォリオは年間10.3%の下落で済んでいます。一方、2013年の金相場は米国の利上げ観測の影響などで12.6%の下落でしたが、日本株は54.4%の上昇でポートフォリオは17.4%の上昇となりました。このように金と日本株はお互いを補完する値動きをしていました。ただ、2008年のリーマンショック時にはリスク性資産は全て売却される状況となったので、金も日本株も下落していますが、日本株だけを保有していた場合よりも下落幅は小さくなっています。

今年に入ってから株式市場をめぐる環境は厳しさを増しています。日本株も海外要因で下落基調を続けると思われますが、金相場は比較的堅調地合いを維持すると思われます。金はモノ(商品、コモディティ)の代表格ゆえ、米国の利上げにより米ドルの価値が上昇すれば相対的に下落圧力がかかりますが、景気見通しの悪化から利上げのスピードは緩慢になると考えられ、景気減速に苦しむ中国が金融緩和策により人民元の通貨供給量を増やし続けており、金相場には追い風と考えられます。また、中東、東アジア、南シナ海などで安全保障面での緊張が高まると金が買われる可能性もあります。2008年と同じように全ての資産が売り叩かれる状況となれば話は別ですが、金地金そのものだけでなく、金相場に連動する金融商品もありますので、これらを活用した分散投資は一考の余地がありそうです。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。