2016年は1800億円を超える経済効果 〜 関西電力・高浜原発の再稼働


関西電力は先月28日、今月下旬の再稼働を目指している高浜原子力発電所3号機(福井県高浜町)の原子炉にプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料24体を含む燃料計157体の装荷を完了したと発表。

今月下旬に高浜3号機(87万kW)の再稼働を、来月下旬に高浜4号機(87万kW)の再稼働を、それぞれ予定している。

高浜3・4号機の再稼働スケジュールが見えてきたので、2016年1年間の経済効果を試算してみたい。試算根拠は、下に貼付した<現行の電気料金に係る認可申請資料>を参照されたい。

<現行の電気料金に係る認可申請資料>

(出所:経済産業省・電気料金審査専門小委員会

①高浜3号機について、定期検査のための稼働停止周期は現行13ヶ月なので、2016年2〜12月の11ヶ月間はフル稼働すると仮定。その間の原子力発電電力量と核燃料費は次の通り。

・原子力発電電力量 = 87万kW × 24h × 365日 × 11/12 × 設備利用率100% = 69億8610万kWh
・核燃料費 = 0.75円/kWh × 69億8610万kWh ≒ 52.4億円

この『69億8610万kWh』の原子力発電で代替する火力燃料費・購入電力料を、その中で最も発電単価の高い「石油系」であるとすれば、

・代替される「石油系」火力発電電力量に係る燃料費 = 14.72円/kWh × 69億8610万kWh ≒ 1028.4億円

よって、高浜3号機の再稼働に係るコスト燃料費削減効果は、974億円(=1028.4億円 ー 52.4億円)。

②高浜4号機について、定期検査のための稼働停止周期は現行13ヶ月なので、2016年3〜12月の10ヶ月間はフル稼働すると仮定。

・原子力発電電力量 = 87万kW × 24h × 365日 × 10/12 × 設備利用率100% = 63億5100万kWh
・核燃料費 = 0.75円/kWh × 63億5100万kWh ≒ 47.6億円

この『63億5100万kWh』の原子力発電で代替する火力燃料費・購入電力料を、その中で最も発電単価の高い「石油系」であるとすれば、

・代替される「石油系」火力発電電力量に係る燃料費 = 14.72円/kWh × 63億5100万kWh ≒ 934.7億円

よって、高浜4号機の再稼働に係るコスト燃料費削減効果は、882億円(= 934.7億円 ー 52.4億円)。

以上のことから、高浜3・4号機の再稼働による2016年1年間の経済効果は約1860億円( ≒ 974億円 + 882億円)と試算される。

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。