カタチあるモノのデザインであれ、グラフィックユーザインタフェースのデザインであれ、色は非常に重要なファクターである。流行りすたりは当然のこと、緑は自然・ECOのようにそれぞれ固有の印象を持っており、デザインコンセプトを正確に体現するためにはしっかりと選定する必要がある。しかし、特定のユーザ層においては色の見え方に身体的や習慣的な特徴があり、その特徴を知らなければ狙った効果が得られない場合がある。
例えば高齢者は、老化や紫外線の影響で目のレンズである水晶体が本来の透明から黄色になり、目に映るものが黄ばんだように見えてくる。黄色いフィルタを通して見ているような状態であり、黄色の文字や図形などは見えづらくなる。高齢者に配慮して警告や注意の意味を持つ黄色のサインを作ったとしても、場合によっては見えづらく伝わらない可能性もある。
また色が持つ意味は習慣によって違い、典型的なのが緑である。日本では平和的なイメージが強いが、欧米では古くから恐怖や破壊などの意味合いを持っている。キャラクターの色としてもシュレック、超人ハルク、マスクなどが緑であり、未知の生物の血が緑で表現されていたりもする。
上記のような特殊なユーザ層だけでなく、単純に男性と女性や10代と20代といっただけでも色の見え方や印象は違うこともあるだろう。ターゲットユーザについての調査をする上では、困りごとや生活スタイル、価値観といったよくある項目だけでなく、色についても含めるとより製品やサービスの質があがるだろう。
(Betonacox Design)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。