マイナンバー制度:導入効果は当分体感できない・・・


10月1日、ようやく「マイナンバー(個人番号)」が国民一人ひとりに通知される。

今もって批判が多いが、導入はすでに決まっているので、今さらジタバタしても仕方がない。政府のPR資料を見ると、マイナンバーの必要性、利便性、効果など良いことばかりが書かれている。政府は、この制度の理解を図りたいので、メリットを強調するのは当たり前のこと。

しかし、この制度は歓迎されていない。批判の中身としては、「情報漏洩に対する危惧」が盛んに叫ばれている。だが、それ以外の主因としては、この制度を導入することに係る「コスト面での効果」に対する疑問であろう。

政府によると、マイナンバー制度導入による効果として、税収増が2400億円としている。これは、もし本当にこの通りであるならば、とても良いことではある。

だが、これは「税増収効果」であって、「経済効果」とは言えない。この「2400億円」の税増収効果がどう利活用されるかまでは曖昧なままだ。

更に言うならば、こうした費用対効果は十分に喧伝されてもいない。それは政府の責任もあるが、マスコミの責任が最も大きい。

マイナンバー制度は、あくまでも政府が国民を『管理』する際に有用なものであり、それによる税増収や事務効率化といった効果は、付随的な結果でしかない。

この制度を導入するのに、今まで約半世紀かかってきた。それは、導入効果を理解できなかったからという理由もあるのではないだろうか。この制度が導入されたからと言って、すぐに何かが飛躍的に便利になったり、効果が現れたりするわけではない。

我々庶民の生活面では、非効率であるものを非効率でないものにする程度の話だと思っておくべきだ。つまり、遅きに失したということだ。何十年か経って国民の間に浸透すれば、『あって当たり前のもの』、『なくては困るもの』になっているだろう。

マイナンバー制度とは、そういうものである。

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。