10月末に日銀の追加緩和はあるか?


10月30日に日銀の金融政策決定会合が行われる。昨年10月31日に追加金融緩和が決定されて1年経過する節目にあること、最近発表されている経済指標が弱含んでいること、日本郵政グループ3社の上場で株式市場の需給が悪化懸念があること、来年の参院選を見据えて政策サイドから株価水準維持の意向があるかも?、などという理由から30日に追加緩和を予想する向きもあるようだ。

追加緩和に踏み切った昨年10月31日、日銀の黒田総裁はなぜこのタイミングで?という質問に対して「2%の「物価安定の目標」の早期実現を確かなものにするため」と答えている。当時の状況を振り返ると9月に16,300円台まで上昇していた日経平均株価が14,000円~15,000円台まで下落、米ドル対円相場は1米ドル=110円から105~106円台まで円高になっていた。2%の物価上昇は表向きの長期的な目標として置いておいて、短期的な狙いとしては株安防止、それまでの急激な円安進行に対する政府要人の円安けん制発言が一服したこと、加えて、消費税率を予定通り15年10月(当時)に10%に引き上げてもらうためのサポートという面もあったと思う。

ところが政府サイドは日銀の期待とは裏腹に消費税率の引き上げを17年4月まで延期した。衆院選で勝利した政府サイドとしては延期の支持を国民から取り付けたぞということだが、これに対し今年2月の経済財政諮問会議で黒田総裁は「政府による財政健全化に向けた取組が着実に進んでいくことを強く期待」と発言したと議事要旨にある。日銀としては財政健全化が第一、追加緩和はその支援手段と考えられ、追加緩和後の税率引き上げの延期決定は日銀からしてみれば後出しじゃんけんのようなものだったのではないだろうか。

ひるがって現在の状況としては中国の景気減速から世界的な株安リスクが意識される状況となっており、市場では追加緩和を期待しているような相場つきだが、私は次の理由から今回は日銀は追加緩和を見送ると予想している。

・財政健全化に向けた政府の取組が進んでいないこと(日銀としてやるべきことはやった)
・日経平均株価18,000円台は安倍政権発足時から見て十分高い水準にあること
・日本郵政グループ3社の売出しが順調であること(今回の日本郵政株式の売出しは発行済株式総数の11%であり、需給悪化懸念は今後の売出し)
・追加緩和に伴う円安に関して国内外からけん制されていること(輸入物価の上昇が国内世論のウケが悪い、米財務省が19日発表した為替報告書で通貨切り下げをけん制された)

もし今回追加緩和を見送るとなると、追加緩和期待が高いだけに株式市場は大幅反落することが考えられる。この点に関して、安倍首相や麻生財務相からは緩和が無いことを徐々に市場に織り込ませようとしていると思われる発言が出ている。

•麻生財務相、16日に放送されたNHKのインタビューにて「多分、日銀の方も今すぐさらに金融緩和するというのではない」
•安倍首相、21日の発言内容として「もはやデフレではない状況を作れた」という報道

仮に30日に日銀が金融政策の現状維持を決定することを前提とする場合、追加緩和期待で株式を買い進めていた投資家の失望売りが出る可能性がある。このシナリオに従うなら29日あたりまでに株価下落と円高に備えてプットやマイナス3倍トラッカーを保有してみてもよいだろう。また、すでにコールやプラス5倍トラッカーを保有している場合は26日の週は一旦売却して様子見することを考えたい。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。