株価の冴えないアップル、新商品は再浮上の糸口となるか?


アップルによると9月9日、日本時間で10日の午前2時からSeptember Event 2015をライブ公開するとのこと。報道によれば新型iPhoneや新型Apple TVの発表があるとの観測が出ている。毎年秋になるとアップルが新商品を発表するのが恒例となっているが、今年の7月下旬以降のアップルの株価は冴えない動きになっている(図1)。株式市場は新商品に対して期待薄とみているようだ。

<図1>


アップルはiPhoneが爆発的に売れたことで、iPhoneと連携しやすいMacBookやiMacなどの商品ラインアップを拡充しWindowsユーザーからの乗換えを促す戦略で成功を収めてきたように思える。しかし、その戦略も限界に来ているかもしれない。図2はGoogle Trendsで調べたiPhone 4以来の主要iPhoneの機種別人気度だ。人気度というのはGoogle Trendsによると検索インタレストのことだという説明がある。要するにどれだけ検索されたかという目安と解釈すればよいだろう。図2にあるようにiPhone 5は非常に良く検索された。それだけ販売数量も多かったものと推測される。iPhone 4SとiPhone 5SはそれぞれiPhone 4 とiPhone 5の改良版という位置づけだろうか、人気度は高くない。気になるのはiPhone 6 だ。iPhone 5が目盛り100に対して80ということで二割ほど人気が劣るようである。

<図2>


iPhone 6はiPhone 5 から大きく進歩した点がなかった、いや、あったのかもしれないが一般のユーザーにその点が浸透しなかったのかもしれない。iPhoneシリーズはスマートフォンとして既に完成していると思われ、アップルが今後販売台数を伸ばすためにはiOSに革新的な機能を持たせ、かつ、最新の機能は新しいiPhoneでしか利用できないようにするというビジネス上の仕組みが必要だろう。満を持して発表したApple Watchも鳴かず飛ばずという印象だ。9日に発表されるという新型iPhoneはピークアウトした感のあるiPhone人気を打開する切り札となるのか。目新しい機能やサービスを打ち出せない限り、アップルの株価再浮上は厳しいかもしれない。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。