2015/08/03

日本株式は割高?市場に織り込まれた投資家の要求収益率

あなたが株式投資をするとき、何%の収益が見込めれば投資してもよいとお考えになるだろうか?何倍、何十倍、何百倍・・・そんなの上昇が見込めるなら上限などないよ、というお考えもあるだろうし、何倍にもなることは珍しいことだから国債金利を上回る年率で数%の収益があれば十分だよ、というお考えもあるだろう。

株式投資は元本が保証されているものではないので、株価が数倍になることもあれば元本が無くなってしまうリスクだってある。将来どれほどの収益が望めるかは誰にも分からないが、会社買収などの実務においては株式投資から期待できる推計収益率を数値化することがある。株式投資から得られる、国債金利など元本割れのリスクが低いとされる資産の利回り(リスクフリーレート)を超過する期待収益率を株式のリスクプレミアムという。本稿では今現在、市場に織り込まれている日本株式のリスクプレミアム、言い換えると投資家の要求収益率はいくらになっているのか?を推計してみた。

株式のリスクプレミアムの推計法には様々な手法があり、推計法だけで論文が何本も書けるほど深いテーマであるが、本稿では過去の株式収益率からリスクフリーレートを差し引くヒストリカル法で推計した。具体的には、配当込みTOPIXの月次収益率から無担保コール翌日物の月中平均を月次調整して差し引いた数値を日本株式のリスクプレミアムとした。計測期間はこれらのデータがそろう1993年7月から2015年6月までである。

グラフは月次で集計したリスクプレミアムの120ヶ月、つまり10年間の移動平均である。平均値は年率換算している。このグラフから言えることは10年間日本株に投資する場合にどれだけのリスクプレミアムが実現し、また投資家が要求してきたかとを表していると考えられる。



投資理論的には株式のリスクプレミアムがマイナスになることはない。リスクプレミアムがマイナスだとリスクを取る投資家がいなくなってしまうからだ。しかし、グラフにあるように時期によってはリスクプレミアムがマイナスの時期が存在する。ITバブル崩壊後の2000年代前半とリーマンショック後の時期だ。そもそもマイナスになるなんてありえないのだからこのグラフはおかしい、というごもっともな意見もあるかもしれないが、あえて解釈するとすればこれらの時期は投資家の要求利回りがマイナス、つまり多くの市場参加者が株式投資のリスクはもう取りたくない、収益は要りませんので誰か私の持っている株を買ってください、というリスクオフの時期ではないかだろうか。後から見ればこれらの時期に株式を引き取った(買った)投資家はその後の株価上昇で恩恵を受けたことだろう。

ひるがえって、現在(2015年6月末)の今後10年のリスクプレミアムは年率6.7%となっており、今後10年間、年率平均6.7%の収益を投資家が要求していることになる(リスクフリーレートを上回る分として)。このグラフを見て分かるようにこの要求水準は過去の水準と比較すると少々高めだ。日本企業が投資家の要求水準に応じていけると考えるなら買いだが、ちょっと難しいんじゃないの?と考えるならこれから長期で株式を買うのはちょっと待ったほうがよいだろう。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
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