この記事をご覧の皆さんは、太陽光や風力といった自然エネルギー(=再生可能エネルギー)に関して、どの程度のコスト負担となっているだろうか?
私事で恐縮だが、我が家の電気料金の今月検針分において、再エネ賦課金が1369円となった(参考1)。再エネの固定価格買取制度(FIT)が2012年7月に施行されて以来、初めて1000円を突破した。単純計算すればそうなるのだが、やはり1000円超えというのは大台に乗ったとの感...
<参考1>
日本全体における昨年度の再エネ買取総額は1兆円を超えた。ここから回避可能費用(電力会社が再エネを買い取ることにより、本来予定していた発電を取りやめ、支出を免れることが出来た費用)を差し引いたものが再エネ賦課金。
再エネに対する国民負担を、再エネ買取額で見るか、再エネ賦課金で見るかは、それぞれの立場で異なる。例えば、FITによる規制的な買取だという視点では再エネ買取額で見ることになり、再エネが輸入化石燃料の代替だという視点では再エネ賦課金で見ることになる、というようなことだろう。
FIT施行以来、再エネ導入は順調に進んできている。最近の統計データでは、今年4月の再エネ買取量・再エネ買取額は、前年比48%増・52%増。
ここ10年の家庭向け電気料金の推移を見ると、FIT施行以前に比べてFIT施行以後の方が値上げ傾向が顕著であることがわかる(参考2)。だが、国民全体として家庭向け電気料金の負担感が増しているように思えないのは、家計に占める電気料金の割合が数%程度だからかもしれない(参考3)。
※画像をクリックして拡大
<参考2>
(http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/charge/average-past-j.html)
<参考3>
(http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/charge/elec-bills-household-j.html)
とは言え、FIT施行によって電気料金の対家計割合は増加傾向に入り込んだと考えるべきだ。この傾向が続けば、再エネ負担への喘ぎ声が大きくなっていく可能性はある。企業向けでは、既にそうした声は大きい。
再エネの導入を今後円滑に進めていく際、再エネに係るコスト負担の抑制 が大きなポイントであるのは、こうした理由からでもある。
(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。