日本株も無関係ではいられない?中国発の株式バブル崩壊


中国株の下落が止まらない。6月の上海総合指数は7.25%下落した。6月の日経平均株価は1.59%の下落であり、中国に比べると日本の株式市場の下落は軽微だ。日々の株式市場を見ていても先進国の株式市場が上昇しているなかで上海総合指数だけが下落しているという日もあった。これは上海株式市場は海外投資家の取引が制限されている閉ざされた市場であるからだろうが、今後、中国発の世界同時株安が起こる可能性は低くはないだろうと思われる。

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<図1>

図1は1995年7月からの上海総合指数と日経平均株価の推移であり、図2は上海総合指数と日経平均株価の相関係数の推移である。ここでいう相関係数とは値動きの連動性を見る指標で、1に近づくほど同方向に、-1に近づくほど反対方向に動き、0では無関係に動くという意味になる。相関係数を持ち出したのは日本の株式市場が中国の株式市場と無関係なのか、それとも関係性があるのか、関係性があるなら関係性に変化があったのかを見ようという試みである。

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<図2>

図2のLinearとある緑の点線は相関係数の近似線つまりトレンドラインだが、ここから分かることは数十年単位の長期のトレンドを見た場合、相関係数は上昇傾向にあることから日本株と中国株の値動きは似通ってきているといえる。これは日本企業が中国で事業展開をしていることや中国からの旅行者が日本で消費するなど経済的な結びつきが強くなったことが株式市場に現れているためだといえるだろう。一方で数年単位で見れば緑の実線の矢印のように相関係数は上下している。特に上昇が目立つのは世界規模の経済危機が発生した後である。2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック後には相関係数が上昇しているが、これは世界中の投資家がリスク性資産の代表格である株式を一斉に売却し現金化したことが相関係数上昇の背景として考えられる。

今は数年単位でみれば相関係数は下落トレンドにあり、数十年の長期トレンドラインである緑の点線を下回ってきたが、相関係数がいつ上昇してもおかしくない時期といえるだろう。2008年のリーマンショックから相当期間経過していること、最近の上海株式市場の下落が止まらないことから、世界中の投資家が一斉に株式を投げ売る危機的な状態にこそ至ってはいないが、中国発の世界規模のバブル崩壊に繋がる可能性は高まっていると考えられる。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。