投資家なら知っておきたい中国株価指数の違い


中国株の乱高下や中国当局による株価維持策が連日のように報道されているが、ひとえに中国株といっても市場が分かれていたり、中国本土の投資家に限定されている市場があったりと投資家でも違いを明確に認識している方は多くないかもしれない。そこで今回は中国の株式市場の違いをざっくりとまとめた。

中国の主な株式市場として香港市場と上海市場がある。香港市場は外国人投資家でも取引ができる市場だが、上海市場は中国本土居住者が取引可能なA株市場と、海外投資家が取引可能なB株市場に分かれている。なお、上海A株市場には昨年11月から株式相互取引が始まり海外投資家も香港市場を通じて上海A株市場で取引できるようになった。上海B株市場はA株市場に比べて銘柄数が大幅に少ない。

中国の代表的な株価指数としては香港のハンセン指数、ハンセン中国企業株指数(以下、H株指数)、上海総合指数などがある。ハンセン指数は香港市場に上場している50銘柄(2015年5月時点)を対象としており、H株指数は香港市場に上場している中国本土企業株、いわゆるH 株を対象にした指数で40銘柄(2015年5月時点)で構成される。ハンセン指数にもH株が28.62%含まれており(2015年5月時点)、ハンセン指数とH株指数のどちらにも含まれる銘柄も存在する。一方で上海総合指数は上海A株とB株の全てで構成される株価指数だ。



世界中の株価指数を算出しているMSCIという有名な指数算出業者がある。MSCIが算出しているMSCIワールド指数は日本をはじめ世界中の機関投資家が運用目標に採用している株価指数である。この株価指数は世界の先進国の株式で構成されているが、香港上場の株式も含まれている。投資運用業界では香港は先進国という扱いになっている。一方で上海上場の株式はMSCIワールド指数には含まれていない。上海市場は新興国市場という扱いになっている。

MSCIに採用されると指数連動運用を行っている機関投資家の買い需要が発生する。香港市場は海外投資家の影響が強い市場であるが、上海市場は海外投資家の影響は限定的であり、最近の株価維持策を見るとむしろ中国当局の影響が強いといえるだろう。同じ中国の株価指数といえども特徴に違いがあるので中国の個別株や指数連動商品に投資するに当たっては指数の構成銘柄の違いを把握したうえで判断されるのがよいだろう。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。