日本郵政上場後の日本株市場は?過去の事例を振り返る


今年の秋にいよいよ日本郵政グループ3社の株式が上場される見込みだ。日本郵政グループ3社とは日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険のことだ。政府による日本郵政株式会社の株式売出しの規模は初回で1兆円台半ばになるという報道も出ている。

このような大型上場になると需給の悪化が懸念される。日本郵政の資料によると売出しの規模は市場の混乱を生じさせないように円滑な消化が可能と見込まれる規模とある。日本郵政上場後の日本株市場の行方を予想するにあたり、過去の政府系大型案件が参考になるかもしれない。

過去の政府の主な売出し案件としては1987年2月9日に上場した日本電信電話(NTT)、1993年10月26日に上場した東日本旅客鉄道(JR東日本)、1994年10月27日に上場した日本たばこ産業(JT)がある。このグラフはNTT、JR東日本、JTが上場した日のそれぞれ前後60営業日の日経平均株価の推移を重ねたものである。



NTTが上場した1987年は、1985年9月のプラザ合意以降の急激な円高の進行により円高不況が懸念されたが、公定歩合の引き下げと財政拡大により景気回復期にあった時期である。NTT上場前から株式市場は堅調に推移し、上場後もそのペースは変わっていない。このグラフには出ていないが1987年10月19日には米国で株価の大暴落、いわゆるブラック・マンデーが起こった。ブラック・マンデーに対応するため各国は協調金融緩和を実施し、日経平均株価は上昇を続け、のちに平成バブル景気と呼ばれる好景気が続いた。

JR東日本は1993年、JTは1994年に上場したが、この時期はバブル崩壊を引きずって日経平均株価は冴えない展開が続いた。1993年から1994年の終値ベースの最高値は21,552.81円、最安値は16,078.71円というレンジであった。JR東日本の上場前までは日経平均株価は20,000円台を維持していたが、上場後の1993年末には17,000円台まで落ち込んだ。1994年に入り日経平均株価は再び20,000円台を回復し、JT上場日には19,000円台後半、JT上場の1ヵ月後には18,000円台に落ちるもその後の60営業日までは18,000~19,000円台で推移している。

過去の政府系大型案件を振り返ると日本経済が強ければNTTの上場のときのように大型上場の後も株価は上昇を続けるだろう。民主党政権下の円高不況を乗り越えた現在の状況はプラザ合意後の円高不況を乗り越えた当時に似ている面もある。一方で、平成バブル崩壊を日本の高度経済成長時代の終焉と解釈し、経済構造の転換点するならJR東日本とJTの上場後のように、日本郵政の上場は日本株市場への下押し要因となる可能性もある。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。