セルインメイを検証する


セルインメイ(Sell in May)とは株式の投資格言で夏場に相場が崩れるので5月のうちに売却せよ、というものだ。日本の株式市場でも5月に相場が急落することがあり、毎年この時期に相場が崩れると「セルインメイが来た!」として騒がれることもしばしば。もとは欧米の株式の投資格言で「Sell in May and go away. Do not come back until Halloween.」(5月に売り払って市場から離れろ。そして10月末のハロウィンまで戻ってくるな)から来ているもので、5月に相場が崩れるというよりは夏場は相場が崩れるので5月のうちに売却しておきましょう、ということであり5月に相場が崩れることを言っているわけではない。

とはいっても経験則的に5月のGWを境に日本株相場が下落する印象をお持ちの方もいらっしゃるだろう。そこで実際の株式指数のデータを用いて検証した。表は1995年5月からの配当込みTOPIXの月次収益率を各月ごとに平均したものだ。表にあるように5月の日本株の平均収益率は-1.23%であり、過去のデータで検証すると5月は株式が下落するという経験則に一致している。だがそれよりも気になるのは5月よりも8月と10月の下落の方が大きいことだ。過去のデータからは5月だけでなく、夏場は格言どおり相場が崩れる傾向にあるということだ。



一方で10月末のハロウィン後、つまり11月以降の収益率は好調だ。表の11月~4月の収益率の合計は8.02%、5月~10月の収益率の合計は-3.91%で夏場に比べて冬場の方が株式投資には向いていると言えそうだ。この傾向が今後も続くと仮定すれば1年間のうち11月~4月の半年は株を買い持ちし、5月~10月の半年は株を持っていなければ良い投資収益を期待できるかもしれない。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。