本が好きな工業製品デザイナーは多い。記事の信頼性が高いということもあるだろうし、プロによって見定められた写真の色がWebのように閲覧環境に左右されず再現性が高いということもあるだろう。また普段から紙にポンチ絵やアイデアメモを描いており、実用性ではなく単に親近感という話しかもしれない。
その本についてバルセロナを中心とするカタルーニャ地方では素敵な風習がある。毎年4月23日は「サン・ジョルディの日」といって家族や友達など大切な人に1本の薔薇と1冊の本を贈っている。サン・ジョルディとは、ドラゴン退治の伝承を持つカタルーニャ地方の守護聖人であり、4月23日は彼の命日である。この日にはバルセロナ市内にバラや本が溢れかえり、書店やカフェなどでは、朗読が行われている。
日本人が薔薇と本を贈ることは少しハードルが高いが、例えば職場などで毎月23日に本を交換しあうなど自分たちなりにサン・ジョルディの日を楽しんでみてはいかがだろうか。実用書であれば業務の平準化にもなるし、趣味の本であればコミュニケーションの向上にも繋がるだろう。
(Betonacox Design)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。