2015/04/21

デザイナーと使い勝手をつなげるもの「人体寸法データベース」

あるデザイナーが今からデザインしようとしている製品にはユーザがしっかりと握り込むグリップがついている。そしてそのデザイナーはグリップを含めた製品全体の美しさを実現するため、グリッップをできるだけ細くしたいと考えている。もちろん握りやすさという使い勝手を損なわないよう配慮しなければならない。

こういった見た目の美しさと使い勝手の調整は、製品デザインではよくあることである。今は3Dプリンターが普及し早く安くモデルが作成できるので、グリップの太さを変えたいくつかの実寸モデルを作り、実際にグリップを握って検証することがベストだろう。

この検証で重要なポイントが「誰が検証するのか」である。担当しているデザイナーやその上司などが体感することも大切ではあるが、グリップを細くして使いづらくなるのは手が大きなユーザであり、実際にそういった人に検証をしてもらわなければならない。

そして、使い勝手をしっかりと検証するにはもう少し工学的なアプローチが必要となってくる。AIST(産業技術総合研究所)が手の寸法を測定し正規分布化したデータベースを公開している。https://www.dh.aist.go.jp/database/hand/index.html

この中の「L08: 指股-第2指先端」において95パーセンタイルの測定値(M=男性)は118.3mmであり、そういった手を持つ数名に検証をしてもらうだけで、統計学的に「日本人のほぼ全員にとって握りやすさに問題はない」と結論付けることができる。


数字やグラフなどで一見は小難しそうではあるが、影響しそうな体の部分を考察し、表中から寸法を見つけ、その特性をもった人を選定するだけなので、工学系でないデザイナーでも問題なく扱える。設計者や技術者への説明もよりスムーズになるだろう。

測定年に注意は必要だが、AISTは手を含めた全身に対して人体寸法データベースを保持しており、様々な製品の使い勝手の検証に役立てることができる。

(Betonacox Design)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。
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