株価の先行きに弱気の投資家が増えてきた?


日経平均株価は2000年のITバブル以来の高値圏で推移している。日本はアベノミクスの元、日銀の量的緩和政策の導入によって大幅な株高が現実のものとなり、日銀のみならず世界各国の中央銀行も量的緩和政策を実施したことで世界各国でも株高になっている。

株価の先行きに関しては経済評論家や証券会社のアナリストなどから様々な意見を聞くことができるが、投資家であれば他の個人投資家がどのように考えているか気になるところ。そこで今回は日本の株価の先行きに強気な見通しを持っている投資家が多いのか、弱気な見通しを持っている投資家が多いのかeワラントの取引動向から探ってみることにした。

この図は日経平均株価を対象とするコール型のeワラントとプット型のeワラントの取引残高の推移を指数化したものだ。コールとはオプション取引で言うところの買う権利、プットは売る権利のことだが、一般に相場の上昇を見込む際に保有するのがコール、逆に相場の下落を見込む際に保有するのがプットである。つまり、コールの残高が増えれば相場に強気の投資家が増えていることになり、逆にプットの残高が増えれば相場に弱気の投資家が増えているといえるだろう。

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昨年末の日経平均株価は堅調に推移していたため、年初は強気の投資家が圧倒的に多かった。しかし、年初は相場が崩れ投資家心理を冷やした。以降、徐々に強気派は減っていったため、3月以降の上昇局面を享受できた投資家は多くはないだろう。一方、2月中旬を境に弱気派が強気派を逆転する状態になっている。強気派の減少が意味するところは、強気な見方をしていない、つまり、下落もしくは横ばいで推移すると見ている投資家が増えてきていることを表している。一方、少しずつではあるが弱気派の投資家が増えているが、これは日本の株式市場の下落に期待しているか、もしくはプットを保有して下落に備えている投資家が徐々に増えてきていることを表している。

「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という有名な相場格言があるが、上記の取引動向に表れている投資家心理は“懐疑”の状態なのか、それとも“幸福感”の後を見据えた動きなのか、ご自身の取引経験や相場観に照らし合わせてみてはいかがだろう。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。