マイナンバー特需で注目の業界は?


今年の10月から住民票を有する国民、長期在留者や特別永住者などの外国人一人一人にマイナンバーと呼ばれる個人番号が通知される。マイナンバーとは内閣府のウサギ型「マイナンバー広報用ロゴマーク」(愛称「マイナちゃん」)の解説によると、来年の1月から社会保障、税、災害対策の行政手続に必要となる個人番号のこととのこと。例えば、子供がいるご家庭での児童手当関係の手続きや年金関係の手続きの際に提示したり、税金に関わる金融機関や源泉徴収表が出る勤務先にも提示が必要となる。内閣官房の特設ページに「マイナちゃんのマイナンバー解説」があるので制度の詳細はhttp://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/gaiyou.htmlでご確認いただきたい。

さて、このマイナンバー制度導入にあたっては官公庁や金融機関において提示を受けたマイナンバーを各種帳票に印字したり、データベースに新規追加保管するなど大規模なシステム変更を伴うことになる。マイナンバーは特定個人情報といういわゆる個人情報よりもワンランク上の厳重な管理が求められており、システムの作りこみや業務フローの見直しなどで情報漏えいの防止する必要がある。

このようにマイナンバー制度の導入は苦労が伴うわけだが、それだけお仕事も増えるわけでむしろ日本経済にとってはマイナンバー特需発生でポジティブだろう。少なくとも官公庁や金融機関にシステム開発・納入実績のある大手システムベンダーには開発特需が発生する。さらに官公庁や金融機関ではマイナンバーに関連した業務やコールセンターの増員も必要となるだろう。そうすると前述のシステム開発要員に加えてオペレーション・コールセンター要員も必要になるので人材派遣業にも特需がありそうだ。また、マイナンバーを記載したICチップのついたカードの交付も始まることが予定されており、ICカードの発行実績がある事業者にも恩恵があるだろう。

特に筆者が重視しているのは、制度の認知度をどれだけ上げることができるかという点だ。おそらくテレビ広告、新聞広告を中心に多大な広告投入があるだろう。広告代理店や在京キー局、新聞業界、パンフレットやチラシの印刷業者にも特需が発生するかもしれない。SNSでの認知向上も謳われており大手SNS運営事業者にも広告収入の恩恵があるかもしれない。おまけに内閣府のホームーページには外国人向けの英中韓西葡の5ヶ国語ホームページもあり、各地方公共団体にも外国人向けホームページの周知の協力を要請していることから翻訳業にも特需があるかもしれない。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。