2015/03/02

ヴィクトリア女王の時代に誕生した貴族の習慣アフタヌーン・ティー Afternoon tea in England


日本人にも親しまれている“アフタヌーン・ティー Afternoon tea”は、英国発祥の喫茶習慣ですが、それも名君ヴィクトリア女王の時代に生まれた貴族たちの習慣であったことご存知でしたか?

名前の通り、午後に親しむティータイムですが、お茶を楽しむだけではなく、紅茶と共に軽食や菓子を摂り、その時間は社交の場として使われることを特徴としています。

ですから、ヴィクトリア女王の時代は、貴族特有の作法、室内装飾、食器、花、会話など、センスや知識が要求されたのです。

アフタヌーン・ティー(午後のお茶)という習慣は、1840年頃、ヴィクトリア女王が王座に就いて間もなくの頃でした。第7代ベッドフォード公爵フランシス・ラッセルの夫人、アンナ・マリアAnna Russell, Duchess of Bedfordによって始められたとされます。その歴史は中世末期、それも近代に入ろうとする頃です。以外にもその歴史は長くなかったのです。

当時は貴族社会では日に朝食とディナーの2回しか食事をしませんでしたから、また、夕刻から観劇することもあり、ディナー時は夜9時頃となることが多々あったのです。

ですからベッドフォード公爵夫人のアンナ・マリアは、1日2度の食事では夜までお腹がもたないと考え、また、実際に自分が空腹で耐えられないことが毎日でしたから、午後3時頃に自分の居間で友人たちを招き、バター付きパンとお茶を飲むことを供したのです。

ところが、ディナー時までの空腹感を満たすためのものであり、友人たちとのおしゃべりを楽しみながらのティータイムでしたが、それが好評となり、見る見る間に世間に広がったのです。しかも時が経過するに従い、いつしか習慣化してゆきました。

そして、夜のディナー時まで空腹感を覚えずに、日々を快適に過ごすためのものが、気がつけば貴族間でのアフタヌーンのティータイムは、時には華やかなティー・パーティにも変容し、また、それは庶民の間にも広がって日常的になり、今に至っているのです。

ちなみに紅茶の茶葉が初めて英国で販売されたのは、1657年にロンドンでのことでした。当時は庶民には手の届かない高価なもので、王侯貴族のみが高貴薬として用いていていたと伝えられます。

《註:下記はウイキペディアからの引用です》

“アフタヌーン・ティーが小さなラウンジ・テーブルや客間の低いテーブルで提供されるのに対し、ハイ・ティーは食事用の高いテーブルで供されることからその名が来ている。本来夕方の喫茶であると同時に、事実上の夕食でもあるため、紅茶やサンドイッチなど、簡素な軽食や菓子類のみならず、むしろ肉料理・魚料理の方が供される献立では、食事が主体である。このため、ミート・ティー(Meat tea)の別名もある。

英国の元植民地であり、広東系華人の多いシンガポールでは、ホテルで供されるハイ・ティーは、英国式に紅茶、スコーン、サンドイッチが供されるほか、シュウマイ・餃子など中華料理の点心も供され、英国式にアレンジされた飲茶とも、中華風にアレンジされたハイ・ティーかアフタヌーン・ティーともいえる。同じく英国の植民地であったアメリカでは、ハイ・ティーという言葉が非常に儀式化された気取ったティーパーティーを指す。これは、「high」の意味を「formal」の意味と誤解したことに由来する。内容も上述した「ハイ・ティー」よりも軽めの食事とデザートが供される”

画像は名門ラッセルホテルのラウンジでのスコーンと紅茶というシンプルなアフタヌーンティーです。

スコーンもこのように甘くしたものも多く、誰もが楽しめるスコーンとしてあるのですが、時代が変 われば味付けも多彩になり、原型を留めないこともあります。

《註:スコーンsconeは小麦粉や大麦粉、また、オートミールにベーキングパウダーを加え、牛乳でまとめてから軽く捏ね、形にして焼き上げる、というのが一般的となっていますが、粉にレーズンなどのドライフルーツを混ぜて焼き上げられることも多いですね。画像でも感じられると思いますが、焼き上がりは気品すら思わせるおしゃれなものとしてもその存在感は大きく、アフタヌーン・ティーになくてはならないものとなっています》

ロンドンも含めて、ロンドン郊外のコッツウォルズなどにも200年余前の習慣を今に伝えるカフェが多くあり、そこでは伝統的なアフタヌーン・ティーを楽しむことができます。いつか機会がありましたら、是非、本場のアフタヌーン・ティーをお楽しみください。

(トラベルライター、作家 市川 昭子)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。
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