2015/02/17

デザイナーと無意識をつなげるもの「周辺視」


人がものを見る方法として「中心視」と「周辺視」がある。焦点を合わせて見ている中心から約20度の範囲が中心視、それよりも外側で上下150度、左右180度の範囲が周辺視と呼ばれている。サッカーにおいてフォワードの選手は中心視でボールをおっていく一方、周辺視でゴールやディフェンスの選手をとらえ、自らが実行すべきアクションを選択している。周辺視はその扱い方のうまさが、競技自体のうまさに少なからずとも影響を及ぼすため、スポーツとの関連でよく議論されるが、デザインにおいてもその特徴は十分に考慮すべきものなのである。

周辺視の特徴は中心視に比べて
・大きな動きや点滅の認識が強い
・細かい動きの認識が弱い
・色の識別が弱い
といった特徴がある。

例えば、Windows PCで資料を作成しようとした場合、まず中心視は画面の左上の方になるだろう。そのとき画面の右下のタスクバー内にある時計や通知アイコンは周辺視の範囲となる。周辺視は細かい動きはほとんど認識できないため、1分ごとに時計の数字が変わったとしても気になることはない。逆に大きな動きや点滅はよく認識できるため、Windows Updateやウィルス対策ソフトなどの重要な情報は通知アイコンからポップアップで点滅的に出現させることで素早く気づくことができる。もし通知アイコンの色だけを変えるという方法で状態情報を伝えようとしても、周辺視は大雑把な色の識別しかできないため、なかなか気づくことはないだろうし、逆に重要でない情報を点滅などで表示した場合、気が散って資料の作成もままならないだろう。

以上のようなことはもちろんiOSやAndroidの画面デザインにもあてはまるし、ソフトウェアだけでなく、自動車などの工業製品にも考慮されている。ドライバの視線をいたずらに誘導して危険を誘発させないよう、正面の道路を中心視とし、その場合の周辺視に存在しうる情報のグラフィックデザインは配慮されていたりする。

周辺視は無意識の視野と言われ、その部分で良いデザインをしたとしてもほとんどの人が気づくことはない。しかし、そんな無意識なところまでユーザのためにこだわれることは、デザインの面白さでもある。

(Betonacox Design)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。
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