シェール革命に沸く米国でさえ、原発稼働率は近年最高の92%!


先月22日、米国原子力エネルギー協会(Nuclear Energy Institute)が発表したところによると、2014年の米国31州の原発100基における平均稼働率は91.9%であった。原発は過去20年間、米国内の電力供給の20%を賄ってきている。

・・・U.S. nuclear energy facilities generated electricity at a record high level of efficiency last year, demonstrating nuclear energy’s value to the reliability and stability of the electric grid and to the nation’s economy.

One hundred nuclear power plants operating in 31 states posted an estimated average capacity factor of 91.9 percent in 2014, based on preliminary data compiled by the Nuclear Energy Institute.

For the past two decades, U.S. nuclear power plants have annually produced about one-fifth of U.S. electricity supplies, even as total electricity demand has increased significantly. ・・・

http://www.nei.org/News-Media/News/News-Archives/US-Nuclear-Plants-Post-Record-High-Efficiency-in-2

俗に言う“シェール革命”で、シェールオイル・シェールガスの生産に沸く資源大国の米国ではあるが、実際には、ベース電源として原子力を高稼働率で有効活用している。こうしたエネルギー需給面での多様性が維持されていることは、米国の国内エネルギーコスト面やエネルギー安全保障面で大きな利益をもたらしている。

日本が米国から学ぶべきは、こうした強かさだ。日本で進められるべき真の“電力システム改革”とは、電力コスト上昇を来すことが確実な小売全面自由化や料金規制撤廃、発送電分離といった学者ちっくな理想の追求ではなく、低廉安定供給システムの維持と、エネルギー安全保障の強化である。

日本では今、稼働率0%の原発ゼロ状態。資源ゼロ国の日本が、脱原発だ!などと威勢の良いことばかり叫んでいるのは、お気楽に映るし、滑稽にも見える。原子力代替が見つかるまでは、原子力に一定程度は依存せざるを得ない。

安全対策に万全を期すことは当然であり、大前提。これは、安全規制がどうであろうと、原子力事業者自身の最大の責務である。安全規制の運用は世界標準に合わせ、規制基準審査と発電を同時並行とするよう運用改善すべきだ。

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。