2015/01/20

デザイナーと自然界をつなげるもの「ネイチャーテクノロジー」


カタツムリの殻や鳥の卵の表面は非常にきれいで汚れが付きにくい。たとえ油性ペンで落書きをしても簡単にとれてしまう。カタツムリの表面には数百ナノ(1ナノ=10億分の1メートル)からミリサイズまでの広範囲な溝があり、その溝の隙間には常に水が溜まっているため、油が水に反発して固着しないのである。ハスの葉も似たような表面構造を持っており、泥の多い池などに咲いていても常にきれいな状態を保っている。子供の頃にハスの葉に水をたらし水滴を滑らせて遊んだ人も多いのではないだろうか。

この性質・構造を転用することで、汚れにくい建築用タイルなどといった商品が開発され販売されている。本来であれば油性の汚れはベンジンやアルコール、強力な洗剤が必要だが、自然界ではそのようなことは行われていない。自然界はもっと効率的な進化を選択している。そういった観点に目をつけ、自然や生き物の持つ低環境負荷かつ高度な機能に学び、科学技術や産業(商品・サービスの開発)にそれを応用しようという試みが「ネイチャーテクノロジー」である。

カタツムリやハスだけでなく、トンボの羽の動きから小型で低コストな風力発電、蚊の口から痛くない注射器、ガの目から無反射フィルム、フクロウの羽から新幹線の騒音削減、古くは鳥の羽からライト兄弟の飛行機など、様々な事例がある。

ネイチャーテクノロジーを提案した石田秀輝氏は、単に自然界の構造を模倣するだけではコストが高くなるため、産業転用として適切になるようリ・デザインすることで商品化・サービス化が実現され、まさにそのブレークスルーが「サイエンス」はなく「テクノロジー」所以だと言っている。エンジニアだけでなくデザイナーやプランナーの柔軟な発想力も大いに役立つだろう。

あなたが今かかえている大きな課題も自然界に目を向けネイチャーテクノロジーの考え方で推敲すると、もしかしたら美しいブレークスルーができるかもしれない。

(Betonacox Design)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。
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