2015/01/19

鉄道発祥の国・英国


「産業革命は、18世紀から19世紀にかけて起こった工場制機械工業の導入による産業の変革と、市民革命とともに近代の幕開けを告げる出来事とされ、それに伴う社会構造の変革のことである」《ウィキペディアより引用》

ご存知のように産業革命は英国が発祥の地ですが、まずは繊維業界の機械化により栄え、それを国内のみならずヨーロッパ全土に波及させ、英国という国の存在感を大きくアピールしました。

繊維業が栄えた英国は、広大な海外植民地を利用し、生産された雑工業製品の多くをヨーロッパ外の地域に向け、輸出したのです。

そこから膨大な利益を生んだ英国はそこで歩みを止めず、18世紀初頭、コークス製鉄法がエイブラハム・ダービーによって開発されたことで、今度は製鉄業に力を注ぎます。

もちろん、成功し産業革命の旗頭となったのが、繊維業に変わり製鉄業となりました。

というのも英国には石炭が豊富にありましたから、石炭から造成されるコークスは未曽有に造ることが可能だったからです。

そして、産業革命が行われれている間、英国はコークスを最大限利用し鉄鋼業で繁栄を成すのですが、同時に工業機械の製造を推進させ、それをヨーロッパ各国に輸出するようになるのです。もちろん、英国の繁栄は周囲がうらやむほどのものとなり、大英帝国としてヨーロッパ一の繁栄、いいえ、世界一の繁栄を誇ったのです。

でも、それだけでは終わりませんでした。

今から約200年も前の1825年、鉄鋼業が栄えたことで鉄道が敷かれ、世界初の蒸気機関車を走らせるという、人類の歴史上、途方もなく大きな快挙を成すのです。

鉄道発祥の地といえば、多くの人々が知る英国です。それは上記で説明したように、鉄できたレールの上を蒸気機関車を走らせた1825年を鉄道の歴史の最初としています。

でも、英国はその20年ほど前に既存の路面軌道を用いた馬車鉄道を実用化していたのです。

当初は鉄や繊維などを運ぶために軌道の上に馬車を走らせていましたが、それを見た周辺に住む人々の希望で旅客輸送をするようになり、その最初が1807年に開業したウェールズ地方の鉄道会社オイスターマス鉄道でした。もちろん、それは世界初の鉄道での旅客輸送となりました。

また、既に1804年には、リチャード・トレビシックが、軌道上を走る蒸気機関車を製作していましたから、馬車を利用した鉄道時代は短く、1812年、蒸気機関車製作サラマンカ号(The Salamanca)がレールの上を走るという人類初めての鉄道列車が運行されます。

鉄のない時代には木製のレールで始められた旅客輸送でしたが、1793年に鋳鉄によるL型のレールが用いられ、1820年以後は、産業革命により鉄鋼業が栄えた結果、耐久性に富んだ錬鉄によるレールが開発され、導入されます。

また、レールだけではなく、蒸気機関車にも改良が重ねられ、1814年にはかの有名なジョージ・スチーブンソンが、初めてフランジが1方向のみである車輪を用いた機関車を開発し話題を呼ぶのです。

その後、スチーブンソンは1821年、オイスターマス鉄道の対抗馬として活躍していたストックトン・アンド・ダーリントン鉄道の技術者に任命され、1型蒸気機関車による旅客輸送を実現させ、そこから鉄道を使った本格的な旅客輸送が始まることになるのです。

1800年に入って間もなく実用化された馬車鉄道は、蒸気機関車が運行されるその日まで、旅客輸送手段として脚光を浴びましたが、レールもその上を走る輸送車も鉄鉄製となったその日、つまり、ストックトン・アンド・ダーリントン鉄道が1825年に総延長40㌔とはいえ、蒸気機関車で営業運転を行ったその時を“鉄道開始の日”とされ、今現在もその記念日は変わることなく、世界中の鉄道ファンから祝されているのです。

また、鉄道が開始された5年後には、スチーブンソンの手によるリバプール・アンド・マンチェスター鉄道が開業したり、ストックトン・アンド・ダーリントン鉄道など、次々と新しい鉄道会社が創立されましたが、創業時からダイヤを作ってきちんとした運行管理が行われたリバプール・アンド・マンチェスター鉄道を世界で最初の実用的な鉄道運営会社と定義づけられています。

画像はヴィクトリア駅に隣接して建ち保存されている「サザン鉄道」Southern Railwayの駅舎です。

サザン鉄道は、1923年にロンドンと南部地域を結ぶために設立した会社でした。でも、1948年、鉄道が国有化されたことで他の鉄道会社同様に個人の会社としての役目を終え、僅か23年という短い生涯を閉じました。

でも、20世紀に入ってからの建造物ですし、さほど古くはなく、また、特別な造りでもないのに、こうして今なお、駅舎が残されているのです。英国ならではの情景ですね。

(トラベルライター、作家 市川 昭子)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。
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