2014/12/17

関西経済への朗報と悲報! ~ 関西電力:「高浜原発再稼働」合格と“再値上げ”申請

各紙などで既報の通り、国の原子力規制委員会は今日(12月17日)、関西電力高浜原子力発電所3・4号機(福井県高浜町;写真)が規制基準に適合しているとして、事実上の『合格証』となる審査書案を了承した。規制委が合格と判定するのは、九州電力川内原発1・2号機(鹿児島県薩摩川内市)に次いで2例目。地元自治体の同意などを経る必要があるため、実際の再稼働は来春以降になる見通し。

2011年3月11日に東日本大震災による東京電力・福島第一原発事故が発生して以来、日本国内の原発は次々と停止に追い込まれ、現在は全基が停止したままだ。それに伴う火力燃料費の負担増で、関電は今年3月期まで3期連続の最終赤字。

震災後の原発停止の悪影響で、関電は昨年春に料金値上げが認可された。その際の値上げ幅は、家庭向けが9.75%、産業向けが17.26%であった。但しこの値上げは、大飯原発の再稼働(3号機は昨年9月停止後、同年11月の再稼動。4号機は昨年9月停止後、同年12月の再稼動が前提)や高浜原発の再稼働(3・4号機とも昨年7月の再稼働)を前提としているが、いずれもまだ停止したままなので赤字は更に膨らんでいる。

高浜原発3・4号機に関して規制委が今日『合格証』を了承したとしても、再稼働までの時間はまだ相当あるので、原発停止継続による関電の経営状況の深刻化は今後当面は続くことになる。この状態では、再び料金を値上げしなければならなくなることは誰の眼にも明らかであった。

そして、関西電力は今日(12月17日)、昨年春に続く料金の再値上げについて、「実施せざるを得ないと判断し、具体的な手続きに向け準備を進める」ことを発表した。値上げ幅など詳細は今後詰めていくとのこと。

高浜原発『合格』の旨は、関西の経済・社会にとっても、本当に久々の朗報だ。これが事前報道された先週、株式市場も好感し、関電の株価は2013年10月以来の高値を付けた。おカネを出そうという人に好感を持たれることは大事なことだ。それによって経済が回る。経済が回れば社会も潤う。こうしたごくごく当たり前のことが、原発問題の前では無視されてしまうようだ。“原発稼働=危険、原発停止=安全”という奇妙な風説が蔓延しているのだ。

だが実際は違う。福島第一原発事故は、発電時ではなく停止時に大津波に襲われたことで起こった事故。つまり、稼働中の事故ではない。重要なことは、稼働(発電)しているか停止しているかではなく、核燃料の管理である。政府は原発の稼働と停止に関するそうした正しい認識を周知していく必要があり、マスコミはそれを思い込みや偏向なく中立的に報じていくべきなのだ。残念ながら、政府もマスコミも、今も依然としてこうしたことを発していない。

では、高浜原発が来年4月に再稼働した場合、関電の経済・社会にとってどのような効果があるのか、試算してみた。高浜原発が稼働することによって、原発停止の代替としなっている火力燃料費などの重いコスト負担をどのくらい軽減できるか、ということだ。

詳細は省くが、関電の公表資料・データを基にすると、2015年度は年間2200億円のコスト負担減、2016年度以降は年間平均1800億円~2000億円のコスト負担減と概ね試算された。これは、いわば『再稼働効果』であり、海外資源国への流出を止めて国内で循環させることのできる『国富』そのものだ。

ところが、震災前2010年度と比較すると、原発停止による追加的な燃料費・購入電力料は、2011年度~2014年度第2四半期までの総計で2兆7千億円にも上る。だから、高浜原発3・4号機が再稼働したとしても、震災後の『大損失』を挽回するにはかなりの時間を要することになる。即ち、高浜再稼働によっても、すぐには値下げにたどり着かないのだ。

他の原発についても、早期の発電再開が切に望まれる。規制委による現行の審査プロセスを経なければ再稼働を認めないという行政運用では、いつまでたっても電気料金水準は高止まったままだ。

だから、規制委による審査と同時並行での再稼働を進めていくべきである。一つの事故のために全てのプラントを停止させているというのは何とも変なことであり、米国や旧ソ連が経験した原発事故後の処理でも、事故プラント以外の原発は稼働していた。

リスクとコストを合理的に勘案した原発運営に即刻転換していく必要がある。日本全体で原発停止による国富損失は1年当たり3兆7千億円。これは、1日当たり100億円、1時間当たり4億円であり、この“国富ダダ漏れ”を一刻も早く止血する必要がある。それこそが政治の役割だ。

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。
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