2015年のドイツの再エネ賦課金 〜 約2,100円/月(前年比で減少に転じたのは初めて)


去る10月15日にドイツ連邦経済エネルギー省が発表したところでは、EEG(再生可能エネルギー法)に基づく再エネ賦課金単価について、2014年6.24セント/kWh から2015年6.17セント/kWhになるとのこと。

<原文より抜粋>
・・・Heute haben die Übertragungsnetzbetreiber die Höhe der EEG-Umlage ab dem 1. Januar 2015 bekanntgegeben: Sie sinkt von 6,24 Cent/kWh auf 6,17 Cent/kWh und ist damit erstmals seit Bestehen desErneuerbare-Energien-Gesetzes (EEG) rückläufig.

下のグラフにあるように、ドイツでは、2000年のEEG施行後、再エネ賦課金単価が低下に転じるのは、今回の改定が初めてとなる。前年比で1.1%減。

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(出所:ドイツ連邦経済エネルギー省ホームページ

ドイツの一般家庭の年間消費量は3,500kWhとされているので、2015年でのドイツの再エネ賦課金は、次の式により月々2,100円程度となる。為替レートは12月2日時点のもので、1セント=1.18483円とした。

6.17セント/kWh × 3,500kWh/年 ÷ 12月 × 1.18483円/セント = 2,132円/月

資源エネルギー庁は本年3月25日の発表で、2014年度の再エネ賦課金単価について、1kWh当たり0.75円(標準家庭(月の電力使用量が300kWh)で月額225円)、買取総額を9,000億円とした。

この中で、回避可能費用を2,480億円としたため、再エネ賦課金は総額6,520億円となる。即ち、日本人一人当たり年間5,134円、月々428円の再エネ賦課金となる。(日本の人口を1.27億人とした。)

再エネ賦課金に関して、日本人がどこまでの許容範囲を持っているは定かではない。しかし、今回の選挙戦において、ドイツのこうした現状の数字を出しながら再エネ導入拡大を有権者に訴える政治家や有識者がいるとは思えない。

日本の場合には、ドイツは脱原発をして再エネ導入を拡大しているといった虚言が流れ、それを信じる有権者も少なくないかもしれない。日本で、原発や再エネについて冷静な議論ができる空気が醸成されるのは、今回の衆院選で与党勢力が勝利した後なのだろう。(現時点では、与党が大勝する見通し。)

今も、原発停止によって1日当たり100億円の追加燃料費が海外の資源国に流出している。原発稼働による収益金の一部を再エネ負担金に充てるような新制度の導入を真剣に検討すべきだ。既設原発が廃炉になるまでの間は、原発と再エネを共存共栄させていくことが最善かつ次善である。

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。